小さな飛行機の終焉

関西国際空港の開港で国内線しかやってこなくなった大阪国際空港(伊丹空港)ですが、その顔ぶれは大型のB767からわずか36席しかないSAAB340まで様々です。

また一機着陸しました。今度は何が来たのかな?


こちらに近づいてきました。ボンバルディア社製のCRJ200です。2018年1月31日をもって運行を終了すると聞いて私もはるばるここまでやってきたのでした。

たいていは主翼に付けられているエンジンが機体後方にあるため、正面から見ると耳があるようでなかなか可愛らしいです。

なぜこのような構造になっているかといえば、床の高さを低くし、ボーディングブリッジやタラップがなくても乗り降りできるようにするため。ドアの裏側には階段が取り付けられており、それで乗降できます。ただ、その代償としてエンジンがわりあい高い位置に設けられており、整備性が悪くなってしまっているのですが…。

そして当機材もう一つの特徴はジェット機としては最小クラスとなる50人乗りであるということ。かなり需要の少ない区間にもジェット機サービスを展開できるわけです。

次のフライトは福岡行き。さすがにかなりの人数が待っています。これに50人乗りの飛行機は少々供給不足気味のように思いますが、そのあたりはCRJ200淘汰の原因になっているのでしょうか。

10時10分ごろ搭乗が始まりました。

いよいよ搭乗なのですが、機体が小さすぎて明らかにサイズが合っていません。

こんなに隙間ができていますし…。

あまりの小ささに荷物入れも目線の高さ。出し入れしやすいのは嬉しいですが、通路を歩いているだけでちょっと圧迫感を覚えるのはマイナスです。

10時17分、トーイングカーも使わずその場でクルリと方向を変えて動き出しました。このあたりはさすが小型機だな、と思わせます。

早くも離陸です。

10時43分、機長のアナウンスが入りました。「当機、JA209Jは2001年より地球3周分の距離を飛び回ってきましたが、1月いっぱいで引退となります。これからはERJで運行しますので、今後ともジェイエアをよろしくお願いいたします。」
いま乗っているうちのどれほどの人がこの飛行機の引退を知っているのかわかりませんが、それでも飛行機への愛着が伝わってきてなかなか感慨深いものがあります。

10時45分、ベルトサインが消灯しました。

それにしても機体の小ささは想像以上で、窓側の座席は側面のカーブに当たるほど。私などは問題ありませんが、身長の高い方は相当窮屈なことだと思います。

湾曲は足元にも…。妙な圧迫感があります。

当便の乗客は私を含めて46人とほぼ満員。CRJ200での運航はちょうどいいとも取れますが、当日客のことを考えるとやはりもう少し大型の方が理にかなっていると思います。法律上、乗客50人までは客室乗務員1人だけで運航可能ですから、ドリンクのサービスもなかなかせわしないです。

上空の気流が悪く揺れるかもしれないとのことでしたが、先ほどからその素振りは全く見られません。本来なら小型であればあるほど揺れやすいはずですが、さすがはプライベートジェットを基にして作られた飛行機だけあります。

11時7分、ベルトサインが点灯しました。さすがにこの距離では寛ぎのひと時もまさに一瞬です。
CRJは降下時、機首を下げるのが特徴だそうですが、ウトウトしていたこともあって全然感じられませんでした。CRJ自体はIBEXエアラインズにCRJ700がまだいますから、そちらで体感してみようと思います。

客室乗務員からも「CRJ200は1月31日をもって退役します。のこり9日、皆さまのまたのご搭乗をお待ちしております。」とアナウンスが入りました。この”葬式”がはじめての搭乗となる私には場違いなように思えました。

先ほどはボーディングブリッジを使わせてもらえましたが、福岡ほどの過密空港ではさすがに無理な芸当のようで、ターミナルビルから離れたところで停止。

狭い通路に降客が押し寄せます。

座席の写真も撮りたいし、降りるのは最後でいいやと思っていたら同好の士が1人いて、お互いに譲り合いバスに乗り遅れそうになったのはいい思い出…。ジェイエアの皆さま、大変ご迷惑をおかけいたしました >_<

最後の2人となって急いでバスに飛び乗ります。

ちなみにこちらは備え付けのステップを使っての降機でした。


窮屈でありながらそれでも不思議と安らげたCRJ200。これが最初で最後の搭乗となってしまうのはちょっと寂しいです。
とはいえ、ジェット機が離着陸できる空港の多くにボーディングブリッジが整備されているという日本の状況ではうまくメリットを生かせず、むしろ整備性の悪さだとか、あるいは特有の窮屈さだとかというデメリットが顕われてしまったのでしょう。CRJ200が日本国内から消えたどころか、CRJシリーズ全体としてもIBEXエアラインズが保有するのみです。わずか50人乗り、低規格な空港でも発着可能、プライベートジェット上がりの揺れなさと、航空業界に与えた影響は大きい一機だったのでしょうが、日本という国にはちょっと合わなかったようです。

運航:ジェイエア
区間:大阪(伊丹)~福岡
(2018年1月搭乗)

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