鉄道誕生からしばらくして馬車鉄道や人車鉄道が生まれたように、交通機関というものは時として退化に舵を切ります。より低コストで運営にできるようにとの発想なのですが、コミュニティサイクル分野でもその現象は起こりました。
スーパーで100円玉を差し込むと鍵がはずれ利用できるようになる買い物カートを使ったことはないでしょうか?このシステムではそのコインキーを用いています。借りるときはハンドル中央の箱に100円玉を差し込んで開錠。返すときは鍵をラックの鍵穴に差し込むだけ。100円玉が返ってきます。面倒な会員登録も身分証明も必要ありません。超カンタン!
…とまあこれを見て問題山積だなと思わない方はいないでしょう。
まず第一に事業者は利用料を徴収することができません。マックルの場合は後輪ドロヨケに広告をつけて運営費を賄おうとしていましたが、当然そんなことできるはずもなく。広告主は旗振り役のイオンくらいだったといいます。
で、さらに問題なのが自転車の私物化。身分証明もなく100円玉を入れれば自転車が手に入ってしまうわけですから、マナーのへったくれもありません。高チャリでは駅から会社へ往復するのに使われているのか日中自転車がほとんどいませんでしたし、マックルに至っては大崎まで拉致された車両もいました。
結局、マックルは実験期間を満了することなくシステム変更。ただのレンタサイクルになりました。高チャリは今のところ残存していますが、日中自転車が出払っているのを見るに意味ある事業とは思いがたいです。
このシステム、現存が確認されているのは高チャリのみです。淘汰されるべくして淘汰されているといえますが、自転車シェアリングの成長過程を構成する重要なひとコマでもあるので是非一度見学してみてください。
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