シクロシティ富山“アヴィレ”~先駆者ゆえの苦悩~

 日本で最も早くコミュニティサイクルを導入したのは交通先進都市と名高い富山でした。富山港線のライトレールへの転換や中心街を走る環状線の新設(復活)とヨーロッパ式の交通網を整備してきた富山だけに、コミュニティサイクルも導入しないわけにいかなかったのでしょう。自転車の外観からしてパリのヴェリブへの意識がひしひしと伝わってきます。

参考:パリのコミュニティサイクル”ヴェリブ”(「パリ観光に超絶便利。レンタル自転車『ヴェリブ(Velib’)』を利用してみよう! 」)

 いや、猿まねという表現は良くありません。実は富山はヨーロッパのシステムそのものを導入しています。アヴィレを運営するシクロシティ社はバイクシェアリングシステム世界第一位であるフランスのジェーシードゥコー社の子会社なのです。

 それゆえ料金体系も似通っていて、サービス開始当初は定期パスと7日パスしか存在していませんでした。定期パスは月額700円(えこまいか/パスカをもっている場合は500円)で30分以内なら何度でも利用可能。30分を超過した場合は60分まで200円、以降30分ごとに500円ずつ請求されます。ただし12ヶ月以上の契約が必要です。7日パスはお試し用という位置づけで料金は1000円。定期パスと同じく30分以内の利用は何度でも可能で、超過した場合は別途料金がかかります。

 しかし、いくら元々が市民向けのサービスであるとはいえ、これでは観光客は利用しづらいでしょう(というか市民がお試し用の7日パスを買うのですらそこそこ勇気がいると思います)。そこで、2011年3月より観光客向けに1日パスも販売されるようになりました。こちらはクレジットカードなどの登録は不要で、有人窓口にて住所氏名メールアドレスなどを記入すればパスを貸し出してくれます。料金は1000円ですが700円分はデポジット。利用後にパスを返却すると返金されます。ただしこちらも1日フリーというわけではなく超過料金については後日請求メールがくるので振り込めという手はず。せめてパス返却時に精算できたらいいのですが。

 日本における自転車シェアリングの先駆けとなった富山ですが、日本に合ったサービスを提供できるようになるにはまだまだ時間がかかりそうです。

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