ドコモ・バイクシェア“ちよくる”など~シェアサイクルにはなりたくない?~

2014年、自転車シェアリングの波は東京のど真ん中、千代田区にもやってきました。ドコモが”ちよくる”の愛称でコミュニティサイクルを開始したのです。

2011年4月に横浜でサービスを開始した同システムが画期的だったのは、自転車側に貸出装置を設けたこと。これにより、サイクルポートを比較的気軽に設置できるようになりました。
しかしながら、自転車側で返却処理をおこなえばラック数を超えても返却できるため、駅前など自転車がポートから溢れるといった事態も発生しています。違法駐輪対策に苦しむ自治体としては嬉しくないでしょう。

定期的にトラックで巡回し再配置しているようですが、これはこれでコストが…

決済はクレジットカードのほかドコモ系列ということでドコモ払いが利用できます。
東京自転車シェアリング(千代田区をはじめとする東京都心10区)の場合、月額会員はアヴィレと同様月額料金2000円を払えば最初の30分が無料になり、以降30分ごとに100円が加算されていくというものですが、一回会員は利用のたびに基本料金150円が取られることとなりました。ただし、これらの金額はすべて税抜きであり、別途消費税がかかります
また、観光客向けに定額の1日パスも1500円+税で販売されています。各地の無人販売機および全国のコンビニエンスストアで購入可能です。有人窓口では現金で買えますが、上記の値段に加えてパス代500円+税も必要になります。

ドコモという名の知れた企業が手がけているということもあってかサービスはどんどん全国に広がり、現在では北は北海道から南は沖縄までまさに全国規模の自転車シェアリングサービスとなっています。
しかしながら、これらはあくまでもコミュニティサイクルであり、全国各地で相互利用することはできません。2016年2月に東京自転車シェアリングと称し、千代田、中央、港、江東の4区での乗り入れが始まるまで他エリアとの相互利用は一切できませんでした。東京自転車シェアリングは現在10区にまでエリアが拡大されていますが、他区に接していない練馬区は依然として同区内のみの利用にとどまっています。また、隣接していても東京10区⇔川崎市⇔横浜市といった利用はできません。(※相互利用は大阪バイクシェアとHUBchariの相互間でもできます。)
貸し自転車で他自治体まで乗り出すことがあるか?と思われるかもしれませんが、たとえば江東区から都心部へ自転車で通勤するというのはけっこうメジャーだそう。川崎から東京あるいは横浜へ通勤したい方もいるんじゃないでしょうか。

2019年2月からはID連携が順次始まり、東京10区、練馬区、横浜市、川崎市、大阪市、広島市、仙台市、奈良市及び札幌市では共通のアカウントで利用できるようになりましたが、それまでは別エリアで利用しようとすると改めて登録をしなければならなかったと考えると恐ろしいです。無論、名古屋や神戸などで利用する際は依然として新規の登録が必要です。
また、月額会員のプランは共有できないため、東京10区で月額会員になっているのに横浜市のアカウントで自転車を利用してしまうと1回会員として課金されてしまいます。

西湘地域のLet’s Bikeをはじめとして民間企業がシステムを借りてサービスを提供するという例も見られます。この場合、貸借りできるエリアは自治体にとどまらず、当該企業が運営しているポートならばどこでも利用可能という場合が多いのですが、これはこれで野放しに便利と言えるものではありません。最近こそポート同士は密集して設置されるようになりましたが、以前は1,2ポートずつしかないことがほとんどで、しかもそういうのが複数箇所存在したのです。先に挙げたLet’s Bikeでいうと西湘地域だけでなく市川市や成田市にも1,2箇所ポートを設けています。これらは当然短時間の利用は考えられておらず、1日パスしか使えません。こういったことから、鬼怒川と奥日光では相互利用できないのに、鬼怒川と千歳船橋では相互利用可能などという摩訶不思議な事態も発生していました(現在では鬼怒川のポートは閉鎖されています)。

ドコモ・バイクシェアで使用されるのは主にブリジストンのビッケという車両(現在では他社やスポーツ自転車を導入する事例もありますが、以前はこれが指定自転車だったと聞きます)。電動アシストなのは坂の多い東京都心部などで重宝しますが、バッテリーを積んでいるおかげかなんとこれ車重が30kg以上あります。スポーツバイクなら概ね10kg以下、ママチャリでも20kg前後のものがほとんどですから、ビッケがいかに重いかは考えるまでもないでしょう。電動アシストが効くのであればこれでもまだ許せますが、東京10区だとUber Eatsの配達員が配達に用いており、多くの自転車がバッテリー残量ゼロになっています。要するに、ただ重いだけの自転車を使わされるわけです。
Uber Eatsはドコモ・バイクシェアと法人契約を結んでいるため、配達員は月額4000円で乗り放題となっています。パンフレットには「自転車を多くの人で共有するというサービスの趣旨を踏まえ、長時間の占有はご遠慮願います。」とあるのですが…。(※さすがにこれは問題があると判断されたのか2019年8月からは4時間以上利用した場合に超過料金100円/30分が加算されるようです。ただし、すでに契約済みの方は超過料金なしのままだそう。まったく…。)

電動アシスト自転車の採用、自転車主体のシステムと、自転車シェアリング界に変革をもたらしたサービスではあるのですが、他エリアとの相互利用など時流に乗り切れていない一面も。二大巨頭の一角としてサービスに磨きをかけてほしいです。

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