イオン71系統【歴史解説編】

前記事で紹介したイオン71系統ですが、実は今のような姿になるまでかなりの紆余曲折を経ているのです。それは運賃が下がるという異質さなど吹っ飛んでしまいそうなくらい不可思議なものでした。


イオン71系統は京成バスのイオンモール幕張新都心乗り入れ時から運行されている由緒正しき系統なのですが、驚くべきことに運行開始当初は幕張ベイタウンを経由していませんでした。

2013/12/17-2014/06/29

運行開始当初のイオン71はイオンモールを抜けるとすぐさま左折しハイテク通りを経由したのち、海浜幕張駅周辺のホテル街を回っていたのです。しかも、帰りは豊砂公園すら経由せず、バスターミナル(現:ファミリーモール前)に直行していました。京葉線の北側にまわってハイテク通りを経由するのはホテルスプリングスに向かう意味もあるでしょうが、おそらくはイオンモール幕張新都心とイオン幕張店の結びつきを強化したいという目論見があったのだと思います。
しかしながら、イオンモールを訪れた客がただのスーパーに過ぎないイオン幕張店に寄るとも思えず、幕張のホテル街からイオンモールへお買い物という客も皆無だったようで、このルートは早々に改められます。

2014/06/30-2015/08/02

ホテル街で乗客を得られなかったイオン71は幕張ベイタウンからのお買い物需要に活路を見出します。ホテルスプリングスを出るとそのまま南下するのではなく、一旦イオン幕張店のほうに戻って若葉地区を経由しつつベイタウンに向かうようにしました。また、アパホテルからの帰り道がてらマリンスタジアムにほど近い幕張海浜公園入口に寄るようにしてマリンスタジアムからイオンモールへの寄り道需要も確保しようとしています。いま思えばこれは千葉海浜交通のマリンスタジアム線の前身だったのかもしれません。
とはいえ、マリンスタジアムのバス停まであと数百メートルというところでとんぼ返りするようでは誰も気づきませんし、渋滞につかまってファミリーモールからグランドモールまで20分近くかかるような惨状ではベイタウン住民も利用したくありません。ただでさえ大きく迂回していますから、マンションの位置によっては歩いたほうが早いくらいでした。

2015/08/03-現在

イオン幕張店、ホテル街、幕張海浜公園入口とことごとく乗客がつかなかったイオン71。わずかばかり利用のあった幕張ベイタウンに最後の望みを懸け、他地区への迂回をすべてカットします。さらに2016/12/20にはファミリーモール前〜グランドモール前を結ぶ専用道も開通し定時性が向上したことでようやく利用者が定着しました。
とはいえ、2015/09/01から無料巡回バスが走り始めたこともあって2016/03/25を最後に平日の運行を終了しており、運行開始当初から見ればかなり小粒な系統となっています。

ただ、現在の姿が最適解とも思えません。上の路線図を見ればわかるように、現行ルートでは道路の都合上幕張ベイタウンに入る前にいちど京葉線沿いまで迂回しており、所要時間の増大をまねいています。専用道開通などで遅延が生じにくくなったとはいえ土休日の渋滞は相当のものであり、ルートを単純化して所要時間を減らしておくに越したことはありません。
また、タウンルート沿い(内陸側)のバス停が4か所もあるのに対してマリンルート沿い(海側)はわずかに2か所。道沿いの住宅状況もあるのでしょうが、いくらなんでも不平等です。ミラリオやマリンルート入口といった通過されるバス停もあるくらいですから、バス停がないは言い訳になりません(タウンルート沿いでも12番街は通過の憂き目を食らっています)。

そこで、このように回る向きを逆にしてみてはどうでしょうか?こうすることで道路構造による迂回の必要がなくなり所要時間短縮が見込めるぶん、バス停を多くしてきめ細かなサービスを実現できます。打瀬一丁目公園のみは非経由になりますが、1番街を利用できるのでさほど利便性は低下しないかと思います。


幕張ベイタウンにターゲットを絞ることでなんとか需要のある路線になれたイオン71系統。しかしながらまだまだ改善の余地はあります。運用の都合ばかりでなく利用者にとって便利な路線となるよう磨きをかけてほしいと思います。

ちなみに趣味人的にも新都心営業所唯一のいすゞ車、4105号車が時折運用に就く路線ですから、付近を訪れた際にはぜひ足を伸ばしてみてください。

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