消えたイオン64

海浜幕張駅からイオンモールへはイオン65系統、イオンモールから海浜幕張駅へはイオン63系統を利用される方がほとんどだと思いますが、ここで一つ疑問が。イオン64系統はどこへ行ってしまったのでしょうか?


イオン64系統は海浜幕張駅からイオンモール幕張新都心従業員口(現・イオンスタイル口)を経由してグランドモール前へ向かう系統で、2015年4月1日のダイヤ改正で誕生しました。イオン63系統ではグランドモールへのアクセスは豊砂公園から徒歩となっており、決して良いというわけではなかったので、グランドモール裏手のイオンモール幕張新都心従業員口を経由して徒歩距離を短くしようとしたのです。単純にイオン63系統の経路変更ということならバスターミナル(現・ファミリーモール前)まで向かうべきなのですが、乗客の大半は豊砂公園で下車しグランドモールへ向かっていたため、半数の便をグランドモールで折り返すこととしました。グランドモール前に着いたイオン64系統はイオン63系統と名を変え、そのまま海浜幕張駅に戻るのです。

赤線:グランドモール前行きのイオン64系統
緑線:バスターミナル(現・ファミリーモール前)行きのイオン65系統

この施策は大成功を収め、従業員口はグランドモール北と名を改めて、いよいよグランドモールの最寄りバス停としての存在感を高めていました。

ところが、イオン64系統は突然ほぼすべての便をイオン65系統に置き換えられ、表舞台から去ってしまいます。というのも、来る時はほとんどがグランドモールで降りるのですが、帰る時は意外とファミリーモール側から乗りこんでくるため、多少グランドモール前からも乗るとは言ってもバスターミナル(現・ファミリーモール前)始発便とグランドモール前始発便で混雑の具合に差ができてしまったのです。
さらに、土休日の大渋滞で大幅な遅延が発生したとき、グランドモール前でも海浜幕張駅でも折り返しの間がなく運転士の休息時間を確保できないイオン64系統はバス会社側に取ってもマイナスでした。
また、行き先が違うことによって案内を変えなければいけない係員の負担も大きかったことでしょう。イオン64系統が来たらファミリーモールに行きたい人には待ってもらわなければならない、そうするとグランドモールに行く人も列を見て乗るのを躊躇してしまう。さらには飛び乗りの誤乗も起こっていたのだろうと思います。のちに海61系統も大減便をくらったように、案内上はすべて同じ行き先の方がはるかに楽です。

かくしてイオン64系統は朝1便を除いてすべてイオン65系統に置き換えられてしまいました。朝の1本はしばらく残っていましたが、バス専用道が開通した2016年12月20日のダイヤ改正ごろには廃止されていたと思います。イオン64系統は路線図上からその姿を消したのです。

バス路線網は刻一刻と姿を変えてゆきます。いつか乗れるから、と言っていては気付かぬうちに消えてしまうかもしれません。バス趣味をしていく上では「思い立ったが吉日」を最も重要視すべきでしょう。

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