世田谷線は真のLRTなのか

東急世田谷線は東京に2つだけ残る路面電車の1つです。ペコちゃんで知られる玉電の支線として開業しましたが、本線の玉川線は首都高速建設などの理由で1969年に廃止。専用軌道がほとんどだった支線だけ残った形です(砧線?知らない子ですね)。
玉川線廃止後、全線が専用軌道となったことからホームのかさ上げを行なってバリアフリー化を達成しており、ライトレールの導入に関心がある私としてはなかなか興味深い存在でした。


田園都市線の三軒茶屋駅から地下通路を通って世田谷線ホームへ。1992年の再開発で世田谷線ホームは下高井戸よりに移設されているため、かなり長い道のりです。玉川線が残っていれば渋谷から直通してくれたのに、とも思いますが、乗り換えの悪さは東急というより再開発の方に原因がありますから特に強い感情を抱くこともありません。

と、地下通路を歩いていたのに急に外に放り出されました。吹き抜けは気持ちいいですが、雨だけど地下通路だから大丈夫、と思っていた私にはちょっと残念です。隅に屋根もありますが、この通行量では幅が足りていません。

駅が見えてきました。さすがは再開発の賜物で、周りの雰囲気にちょうど溶け込んでいます。

改札を抜けて少し待っていると電車がやってきました。路線長が短いとはいえ、全編成が同じ形式なのは好感が持てます。同じ形式でも各編成塗装が違っているので楽しめますし。

反対側の扉から乗客が全員降りたところでこちら側が開きます。座席が埋まるほどの混雑になりました。


全線通した乗降観察はあとに回すとして、松陰神社前という駅で下車してみました。

ホームかさ上げの効果は絶大で、段差はありません。無理に低床車両を導入するより、かさ上げをして高床車を導入した方がバリアフリーを達成しやすいのではと思います。専用軌道はともかく併用軌道上ではホーム高が高すぎるという話もありますが、見たところそんなに高いという印象は受けません。これが道路上にあるとまた違うのかもしれませんが。

途中の各駅には旧ホームの痕跡が残っています。
途中の若林駅そばには環七との交差点があり、世田谷線が路面電車であることを再確認させてくれます。

乗車するまで知らなかったのですが、世田谷線の運賃支払方法は一風変わっています。有人駅(三軒茶屋、下高井戸、上町の三軒茶屋方面)では普通に改札をおこない車両のすべての扉が開くのですが、その他の駅では片側4枚ある扉のうち一番前と一番後ろだけが開き、乗客は運転士または車掌に運賃を支払って乗車していくのです。乗務員が運賃収受をおこなうのはローカル線でよく見る光景ですが、世田谷線の場合運賃支払が乗車時ということが特徴的。先払いなので降車時は中央2枚の扉から降りるだけでいいのです。最初下車するときには不正乗車をしているようでかなりソワソワしました。
運賃先払いのバスにも似ていますが、車掌が乗務していて一番後ろのドアからも乗車できることは世田谷線ならではです。一番前の扉からだけでは乗客の多さに対応しきれないでしょう。このあたりは銚子電鉄も見習えるところがあるのではないかと感じます。

さて、そんなこんなで下高井戸駅に着きました。

横がすぐ京王線の線路で列車がどんどん通過していくので少し恐怖を覚えます。

降車ホームには改札がありません

京王線の電車を何本か見送り、三軒茶屋に戻ります。世田谷線は6分間隔で走っているのでほとんど待たなくて済みますね。

12:16 下高井戸発。
12:18 松原着。3人下車,6人乗車。
12:21 山下着。7人下車,10人乗車。
12:22 宮の坂着。1人下車,3人乗車。
12:25 上町着。6人下車,12人乗車。
12:26 世田谷着。5人乗車。
12:28 松陰神社前着。5人下車,9人乗車。
12:30 若林着。2人下車,17人乗車。
12:32 西太子堂着。乗客が多くてよく見えず。1人下車,1人乗車か?
12:33 三軒茶屋着。

小田急線乗り換えの山下の利用者は多いと思っていましたが、上町、若林など完全にノーマークで驚きました。というか、各駅どうこうではなく全体を通して利用客の多さが目立ちます。休日の昼前ということもあるのでしょうが、行きにすれ違った電車は皆ぎゅうぎゅう詰めでしたし。
世田谷線についてはもうすこし深く調査する必要がありそうです。

コメント

  1. こーもとなつひこ より:

    まず、世田谷線は既に路面電車ではありません。
    踏切以外では路面を走行しないからです。
    しかし、道路交通に合わせ環七と交差する若林踏切では電車が待たされるという路面電車的な一面がないわけではありません。
    とはいえ車両にごまかされては本質を見失う事となるでしょう。
    この小さな車両で、長電の倍の人数を日々捌いているのです。
    これだけの利用があっても赤字とのことで、残念ながらホーム嵩上げ以降大がかりな投資はないように感じます。
    車両の小ささ故多客時には対応できておらず、かといって路面電車の様な続行運転もありません。
    300系は登場から18年(大半の台車は更に5年ほど古い再用品)程経ちましたが、以前の車両が14m級3扉車の2連であったことを考えると、24m連接車の300系になり幅こそ20cmほど増えたものの今少し全長を伸ばしても良いように思います。(編成定員は200人→132人と大幅減です。)
    高齢化が進む世田谷の宿場街から続く旧市街を走るには座席が少なく、運賃収受にも禍根を残す路面電車方式の踏襲ですが、飽和状態に近いまま推移する地域の実情に見合った(というよりはやや過小評価した)交通機関。つまりLRTであると僕は思います。

    • ばか者 より:

      コメントありがとうございます。

      世田谷線は地平面を走行しているので、”路面”電車と表現していいのではないでしょうか?()
      冗談はさておき、個人的には世田谷線の路面電車らしさはそのスピードに出ていると思います。駅間の短さや線形の悪さが大きいとは思いますが、わずか5.0キロの路線を走破するのに17分もかかるのはなかなかのものです。比較対象として適切ではないかもしれませんが、東急多摩川線は多摩川〜蒲田の5.6キロを11分で走ってしまいます。もっとも、遅いといってもトータルの所要時間は15分強であり、世田谷線がいわゆるトラムなのだな、と再確認するだけですが。

      それにしても世田谷線、あの利用者の多さで赤字なのですね…。6分間隔でツーマン体制なので人件費はかなりかかりそうですが、まさかそこまでのものとは思いませんでした。

      車両については後日別記事で触れられればと思いますので、少々お待ちください。

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