BRTは正義か【中編】

前回は柳津までやってきました。というわけで、早速BRTに乗り込んでみます。

当然ながら内装はバスと全く変わらないので、前面展望を見るため最前列へ。1人下車した陸前横山を出ると峠に差し掛かり、バスは一般道をゆったりと登っていきます。鉄道ならばトンネルで串刺ししているだけに、BRTを恒久化するなら峠区間こそ専用道化すべきでしょう。もしかするとトンネルが長くて排気の問題が出てきてしまうのかもしれませんが。
陸前戸倉で1人ずつ乗降があり、ここからは旧鉄道敷きを利用した専用道区間になります。専用道走行になったBRTですが、スピードは5〜60キロあまりで速いという印象は受けません。いちおうガードレールはありますが、高速走行による脱線を防ごうとしているのでしょうか?オーストラリアのオーバーンのように、ガイドウェイバス状にすれば高速走行しても安全ですが、鉄道免許とバス免許の両方が必要になってしまう上、そもそも日本だとガイドウェイバスは最高時速が60キロに制限されているので実現性はとても疑わしいところ…。

と、バスは駅でもないのに急停車!

何事かと思ったら“交換所”というものでした。駅間でバス同士を交換させたり緊急の際にバスを転換させたりする場所らしいのですが、実はコレが大きな問題を孕んでいます。というのもこの交換所、

通過不可能なのです

上の写真にあるように交換所には信号が設置されています。交換所を過ぎてしまうと次の交換所まで交換不能になってしまうので当然の話ですね。ですがこの信号はBRTが交換所で停車するまで色が変わりません。それゆえBRTは交換所を通過できず、毎度停車せざるを得ないというワケ。しかもこの交換所、特に長い駅間の中央に1つ、とかではなくわりと頻繁に登場します。本などを見ていた限りでは、BRTが遅い原因は一般道走行が長いことにあるということだったのですが、実際乗ってみた感じでは交換所での停車のロスが大きいのではと思います。
結局、専用道走行はあっさり終わり一般道区間に。志津川で1人下車し自分も一旦降ります。

たまたま商店街移設のタイミングにかぶってしまい駅前は未開の地のよう。ちなみに、商店街が移設された際には駅の場所も移転するとのことで、バスの浮動性を如実に表しています(?)結構立派な待合室なのにちょっともったいない感じもしますね(移設しなかったらしなかったで問題しかないのですが…)。
1時間後のBRTまで何もしないのはもったいないので、鉄道の跡地を訪ねてみることにしました。が、志津川は今、再開発の真っただ中であり、路盤も多く失われている様子。唯一現役時代を彷彿とさせたのは何気ない立体交差でしたが、周りで区画整理を行っている以上ここも近いうちに壊されてしまうのかもしれません。

駅に戻って11:09発の気仙沼行きに乗車。先客はいませんでしたが、ここで1人乗車しました
志津川からは専用道がありますが、このBRTはベイサイドアリーナを経由するために一般道走行を続けます。そのベイサイドアリーナへの道は100人中100人が頷く普通のバス路線。専用道もあるのにちょっともったいない感じがします。なお、ベイサイドアリーナでは先ほど乗車した客が降りました
いくつか峠を越えると歌津に到着。なんとこの駅は鉄道ホームが残っています!見ておきたいところでしたがここで降りるとまた1時間待ちなので断念。BRTは専用道に入っていきます。こちらも先ほどと同じく交換所のオンパレード。正直鬱陶しいです。
蔵内で1人乗車し、ようやく孤独から解放されます。本数が多くても単純に乗客が増えないあたりなんとも…(もっとも鉄道時代の利用状況は知りませんが)。

ところで、出発前にTwitterで気仙沼BRTは専用道区間が短いから大船渡BRTより劣っているという話を見ましたが、現地を訪れてみるとそれは半分当たりで半分間違いという気がします。たしかに専用道区間はかなり短く、乗っている感じでは普通にバスとなんら変わりありません。ですが、外を眺めてみるといたるところで専用道らしきものが建設されていることに気づきます。おそらく気仙沼BRTの専用道区間が短いのは津波で流されてしまったからではないでしょうか。各地での工事が終われば徐々に専用道区間は増え、定時性も増して行くでしょう。しかも、一般道は峠道なのに対して専用道は鉄道譲りのトンネル串刺しなので時間短縮も望めます。今後のさらなる発展に期待したいです。

そんなこんなでBRTは本吉に到着。ここでも一旦下車します。BRTに使われる車両は路線バスと同じもので、トイレなどないのでBRTもここで小休止。トイレタイムが設けられています。
駅舎の方へと向かうと、ここもホームが残されていました!が、それを削るかたちでBRTの専用道が始まっていたのでちょっと残念。さっさと専用道を延ばしてくれと言ったばかりですが、駅とホームは残してほしいです(わがまま)。

ホームへの階段はさすがに閉鎖されていました

本吉からは運行本数が倍増するので、長居せずに次へと向かいます。本吉12:25始発の気仙沼行きBRTは乗客を2人乗せて出発。専用道区間を突き進みます。どこで降車するのか気になるところですが、昼食をとりたいので大谷海岸で下車。すぐそばの道の駅へ向かいます。
この大谷海岸は道の駅とJR駅、さらには海水浴場が一体となった非常に利便性の高い観光施設でした。震災の影響で鉄道は事実上廃止され、海岸には防波堤代わりの(?)土嚢が積み上げられてしまいましたが、道の駅はそれなりに活気付いているようです。

昼食後、建物の裏手にホームが残っているのが見えたのでやって来ました。コーンがあって近付けないのが痛いところ(このあとコーンが無くなったところで路盤上に降りてみたなんて口が裂けても言えない…)
少しばかり残念に思いつつBRT乗り場へ戻ろうとすると、駐車場の裏手にもホームが伸びているのを発見!津波の影響なのか柵などは流されていたので…

え、入れちゃったんですけど?
さっき流石にマズイかなと思って諦めたところに来られちゃったんですけど?

津波の影響なのかホーム中ほどでちょっとした崩壊が起きていました。このホームも貴重な震災遺構として保存されてほしいところです(誰が言ってるんですかね…)。

昼食とホーム見学で1時間ほど使い、 13:36発の気仙沼行きに乗車します。たまたま運賃箱の表示を見ていて、どの乗客がどこからどこまで乗ったのかを全て把握できましたので、そのデータだけ載せようと思います。
本吉→不動の沢:1名
大谷海岸→南気仙沼:1名
陸前階上→最知:1名

なぜかあとに乗った客ほど先に降りていく…。そんなこんなでBRTは気仙沼駅へ。到着直前の大船渡線(鉄道)との並行区間では奇跡的に気動車との競走を見ることができました!

 途中でゴチャゴチャ書いた提案については後編のほうにまとめようと思いますので、そちらも是非ご覧ください。

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