BRTは正義か【後編】

完全に前半で時間を使い過ぎてしまいました…。途中の町も気になるところですが、とりあえず盛に直行することとします。

気仙沼駅は基本的には普通の国鉄型駅で、島式ホームの一ノ関寄りが切り欠かれていることを除けばかなり平凡です。BRTは1番線(片面ホーム)、2番線(島式ホームの駅舎側)を使用しており、片面ホームと島式ホームは“構内踏切”で結ばれています。BRTが開業したおかげでバリアフリー化が達成されたというのはなかなか新鮮な視点でした。

バリアフリー化は好ましいことですが、こういうのを見るとまた哀愁が…。

乗車したのは15:05発の盛行き。乗客は1名のみで、意外と乗っていません。
そしてその乗客も次の鹿折唐桑で下車してしまいます。昼間なので多少仕方ないところはありますが、これまで乗ったBRTすべてで乗客5人未満というのはさすがに少なすぎるような気がします。鉄道で復旧していたらどんな風になっていたのだろうとチラリ。

ところで、大船渡線BRTは鹿折唐桑〜陸前高田間において鉄道から大きく離れて運行します。この経路の変更は乗客数に変化を与えたのかも気になるところです。
が、いつもの通り疲れで眠りこけてしまい…気付いたら陸前高田の町に入っているようでした。造成ど真ん中の旧市街地を抜け高田高校前に到着。ここで1人が乗車してきます。時間が早めだとはいえ、ローカル線の主要客である高校生がこの程度では…。
小友から久々の専用道走行になります。そして嬉しいことに、専用道に入ってすぐの踏切はノンストップで走り抜けました!踏切はどこも専用道側に遮断機が下りていて、BRTが踏切前で一旦停車しないと通行可能にならなかったので、このノンストップはとても貴重です。というかBRTを名乗って鉄道の代替とするくらいならどこの踏切も優先信号化してノンストップで通行できるようにしないとマズイと思うのですが。
小友から始まる専用道はかなり長く、気仙沼BRTがいまだちょこちょことしか専用道がないのに比べると対照的です。中編で述べた通り、専用道の建設が終われば気仙沼BRTもこのようになるのでしょうが、なぜこんなに建設ペースに差が出ているのか気になるところ。
碁石海岸口、大船渡魚市場前など、BRT化後に新設された停留所を過ぎ、BRTは下船渡に到着。ここで1人乗車してきました大船渡では1人乗車,1人下車。降りたのは高田高校前で乗ってきた高校生ですが、意外と長距離の通学です。てっきり小友か脇ノ沢で降りてしまうと思ったのですが…。
 道中寝ていたこともあってあっという間に盛に到着。 乗客2人とともに下車し、BRTの乗車体験は終了です。


途中何ヶ所か下車しつつBRTをほぼ全路線乗車してきましたが、その中で最も感じたことは「BRTはまだ発展途上だ」ということです。 沿線の町もまだまだ復興途上ですし、復興計画に合わせて徐々に良くしていけばいいと思います。その意味ではBRTというのはかなり理想的な手段だと言えます。鉄道よりも停留所の新設や経路の変更が容易ですからね(志津川駅が商店街の移転とともに移転するのを見ても一目瞭然です)。
ただ、ここへ来るまでに野蒜や女川の復興を見てきてしまったので、BRTが未だに発展途上なのは少し残念にも思います。野蒜地区では自治体がすぐさま復興計画を立て、それに基づいて震災から4年で鉄道が復旧しました。町の復興はまだ先ですが、鉄道という住民の足ができたことで復興は加速するように思います。もちろん津波に流されてしまった距離が全く違うわけですが、それにしたってすぐさま計画を立て実行に移していれば鉄道の復旧までもう一歩、となっていたのではないでしょうか。
今後のBRTについてですが、とりあえずは専用道整備を進めるのが第一です。峠をトンネルでブチ抜くことで所要時間短縮につながりますし、何より渋滞による遅延が圧倒的に減ります。そして沿線の復興状況に応じてきめ細かなサービスを行いましょう。それこそBRTの強みなのですから。

その上で、期待も込めて無理な注文をつけさせていただこうと思います。それは、専用道区間をガイドウェイバス化することです。現状、BRTは専用道区間で5〜60キロしか出しておらず、仮に全線が専用道だったとしても鉄道に対して所要時間面で劣ります。無論、現行法ではガイドウェイバスも最高時速60キロなのですが、特区制度などを活用できないかと思います。もし、オーストラリアのオーバーンのように時速100キロで走ることができれば、鉄道と同程度のスピードで柔軟な路線設定ができる理想的な公共交通機関になります。他の鉄道が廃止されてしまった地域で交通機関を再構築する際のモデルになりえるのではないでしょうか。

 上記の提案は机上の空論に過ぎないとは思いますが、BRTがさらに便利な交通機関になってくれたら幸いです。 

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