川を上る船

瀬戸内国際芸術祭の会場としては唯一岡山県に属する犬島。ベネッセアートサイト直島の舞台のひとつで瀬戸芸には欠かせない存在です。しかしながら、本州からのアクセスは西大寺よりバスで30分ほどかかる宝伝港から個人運航の船が出ているのみ。お世辞にもいいとはいえない状況でした。
これを打破すべく瀬戸芸2019に際し運航を開始したのが岡山京橋クルーズです。犬島から岡山まで直航、しかも岡山側の発着地はフェリーの発着する新岡山港ではなく繁華街すぐそばの京橋港。このため当航路は旭川を7キロ以上にわたって遡上するといいます。これはもう乗ってみるしかありませんよね…?


美術館の見学を終え港に戻ってくると、すでに船が到着していました。急いでチケットセンターに駆け込みましたが岡山京橋へのチケットは船内で購入してくれとのこと。臨時航路ですし岡山から来る方は往復チケットを買っているだろうからとこのような扱いになっているのでしょう。桟橋で係員に旨を述べると、船内で待っていてと言われました。

出航まで10分以上あるため乗客は一人もいません。

無事乗船券を購入。お値段は2000円しますが乗り換えの手間を考えれば妥当でしょうか(犬島~<船>~宝伝~<バス>~西大寺~<バス>~岡山は計1220円)。

座席カバーはなんだか涼しさを感じさせます。
岡山いすゞ自動車寄贈の時計
小洒落たライト。なんだか会津のお座トロ展望列車を思い出します。
前方の壁には時刻表・運賃表が。牛窓が拠点なんですね。

船内でまったりしていると次第に客が乗り込んできました。案外乗りますねこれ。

14:40 犬島発。21人乗船。

いたずら書きにも別れを告げます。

犬島よさらば!…と出航したものの一向にスピードが上がりません。当船はもともと瀬戸大橋周辺の遊覧船だったようで速さは求められていなかったのでしょう。

次第に陸地が迫ってきました。じきに児島湾に入るのでしょうか。

酸化チタンなどの化学工業薬品を製造しているテイカ岡山工場。2019年で創業100周年だったそうです。
なんか橋が見えたぞー!
新岡山~小豆島を結ぶ両備フェリーおりんぴあどりーむと反航。
新岡山港にはにゅうおりんぴあらしき姿が。

普通はこの新岡山港でバスに乗り換えることになりますが、当船はここからさらに7キロも市街に迫ります。なんだか感動ですね。なんにもしらないくせに。

15:11 児島湾大橋をくぐります。

橋をくぐると大きく右手に針路をとり、エンジン音も小さくなります。いよいよ旭川に入っていくようです。

15:20 岡南大橋をくぐると前方のテレビで京橋・表町の紹介ビデオが流れ始めました。

以前は京橋から小豆島への航路もあったんですね。当航路は京橋の復権という使命も持っているようです。

岡山製紙の荷卸場だそう。舟運を感じさせる立地に惚れ惚れです。
しかしさすがに岸に近すぎませんかね…。
道から川に下りてくる階段。未だに舟運が存在しているんですかね?
いよいよ終着の雰囲気がでてきました。
桟橋は新しくこしらえたようです。

15:46 京橋着。21人下船。

ちょうど奥の京橋をMOMOが通りすぎました。ほんとに市街ど真ん中に発着するんですね…。

折り返しの船には島民とおぼしきおばあちゃまたちが13人乗船していきました。クルーとも気さくに会話しており、当航路が島に定着してきたことを感じさせます。

表町方面に進んだところにはのりばの案内が。

本来この航路は瀬戸芸会期中のみのはずでしたが、春と夏の会期間も日曜のみ臨時で運航されることとなりました。利用が堅調なのは確かなようです。


利用の多さから以前取り上げた直島~豊島~犬島航路のように定期化するものと思っていましたが、結局のところ秋会期終了とともに運航は休止。岡山京橋クルーズは京橋などを拠点にチャーター業務を営むようになりました。次の瀬戸芸会期に期待したいところです。

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