イオンモール新駅が絶対に必要な理由

2013年のイオンモール幕張新都心開業前後より再三叫ばれてきたイオンモール新駅ですが、ようやく2024年度の開業へ向けて正式に計画が始動しました。地元民としてはようやくか…という印象なのですが、イオンモール開業から10年も経ってからの開業になるということで、不要なんじゃないの?バスで十分じゃないの?と思う方も少なからずいらっしゃるでしょう。そこで、今回は現在の惨状をお伝えしたいと思います。

イオンモール幕張新都心オープンに合わせて海浜幕張駅から路線バスを走らせるとなったとき、海浜幕張駅ロータリーには8つの乗り場がありました。

1番のりばは免許センター・幕張本郷駅へ向かう幕01系統の乗り場で連節バスがひっきりなしにやってくるような場所ですから当然ここには乗り入れられません。
2番のりばは新習志野駅行きの海61系統が発着しておりイオン系統にはぴったりと思いきや、幕張メッセ・マリンスタジアム方面へ向かう幕01系統(つまり幕張本郷駅からのバスということです)も発着しており、朝ラッシュ時は2分間隔で走る連節バスの急行が押し寄せてくるようなところなのでこちらも無理。
3番のりばは空港リムジンなど高速路線ののりばで、日中ならば羽田・成田合わせて時間3本程度ですが、荷物の積み下ろしに相応の時間がかかることを考えるとここも乗り入れる余裕はありません。
4,5番のりばはベイタウン循環ののりばですが、こちらも15分おきにバスがやってきますからイオン系統の発着場所として適当ではありません。
6番のりばはコロンブスシティ経由で幕張本郷駅に向かう幕22くらいしか来ませんが、それでも日中毎時3本あります。さらに後述の7番のりばがパンクした際は後続のバスが待機していることもあり、こちらも使い物になりません。
7番のりばは千葉シーサイドバスと千葉海浜交通の共同のりば。この響きだけでも嫌な予感がしますが、実際に日中上下合わせてシーサイドは毎時10本、海浜は毎時4本ほど。朝夕のラッシュ時がどうなるかは言うまでもないでしょう。
8番のりばは朝こそベイタウン循環用車両の待機場所となっていますが、日中はイトーヨーカドー経由の幕張本郷駅行き、稲毛駅行きが来るだけで、多くても毎時3本です。しかしながらこちらは平和交通ののりばとなっており、京成グループがどけどけと割り込んで行くのは難しいでしょう。

こういった、平たく言ってしまえば発着できるスペースがないという状況で京成が出した結論は、空港からのリムジンバスの降車場をロータリー外(画像の⑨の位置です)に設け、イオン系統を3番のりばに発着させるというものでした。空港から意気揚々とやってきた外国人観光客、あるいは出張でクッタクタになって帰ってきたビジネスマン、そういった方々にとってリムジンをロータリー外に追い出すというのは酷い仕打ちと思いますが、これくらいしか取りようがなかったのです。(マリンスタジアムへの臨時直通バスのようにロータリーの適当なところで降客だけ扱い、乗車は南口のプレナ幕張バス停からという手もあったような気がしますが、これも臨時バスのことを考えれば良策とは言えなかったでしょう)

そうやって強引にロータリー内にのりばを確保したイオン系統なのですが、イオン系統、空港リムジンともに非常に利用者が多く、早々に3番のりばを分割するという手段に乗り出します。バス1台分しかなかった上屋も増設し、前半分は空港リムジン、後ろ半分はイオン系統としましたが、それでもなお乗客の多さは受け止めきれず、バスを待つ列が重なっているのが現状です。

バスも列になって乗り場をはみ出してしまっています。

では、実際にどれほどイオンモール系統の利用者がいるのでしょうか。ある休日の9:55~10:55に発車するイオンモール行きバスについて乗客数を計測してみました。
※時刻は発車時です。斜体は海61系統、太字は稲毛・新検見川からの路線を示します。

09:55 14人乗車。
09:56 17人乗車。
10:03 22人乗車。
10:11 16人下車,35人乗車。稲毛方面からの便は海浜幕張駅で大量の降車をみますが、それ以上に乗車があるため他便よりもぎゅうぎゅうです。
10:15 40人乗車。
10:20 6人乗車。グランドモールに行きたいのか次のバスを待つ方も6人います。
10:25 マリンスタジアム経由の便がやってきましたが、7番のりばに行ってしまいました。

10:27 36人乗車。
10:39 55人乗車。これだけ詰め込んでもまた25人ほど並んでいます。
10:46 22人下車,33人乗車。
10:48 降車数不明, 21人乗車。

10:49 6人乗車。稲毛・新検見川からのバスに詰め込むくらいなら始発であるこちらの便に誘導したほうがよかったのでは…。
10:52 35人乗車。

電車の時刻によって多少の揺らぎはあるものの、おおむね座席は埋まり、最混雑便では車両後部まで立ち客が出る状況です。現在では海61系統がなくなったため、後ろの便を待つことが少なくなっていますが、それでも悲惨に変わりはありません。
特に問題なのが稲毛・新検見川からのバスも同じのりばに発着させ、乗客を誘導していることです。当然稲毛方面からの乗客もいるので混雑はますます酷くなりますし、海浜幕張駅からの客は整理券を取る必要があります。特定便だけ整理券を取らせるというのは案内に苦労するところです(しかもどれだけ案内したところで各便複数人は整理券を取らない輩が現れます…)。マリンスタジアムを経由する便は別のりばに発着させているので、稲毛・新検見川からの便はすべてそうしてしまえばいいと思うのですが…(逆に言えば、所要時間は余計にかかりますが、マリンスタジアム経由の便は穴場と言えそうです)。

これだけしっかりした需要があるのですから、駅設置において案ずることなどありません。計画では浜田方面への陸橋の建設も企図されていますから、免許センターへの需要(こちらも時間あたり100人ほどの利用が見込まれます)も獲得できます。それでいてなぜ開業がイオンモールオープンから10年以上も経ってしまうのか。オープンと同時の開業は確かにリスクがあったかもしれません。ですが、オープン直後からずっとこの惨状が続いているのです。腰をあげるのに5年も必要だったとは到底思えません。いま一度JR東日本の姿勢は問い直されるべきでしょう。そらイオンモールだけじゃなくてマリンスタジアムやメッセ、さらには通勤需要もあるのにいっこうに海浜幕張駅に改札を増設してくれない会社だから仕方ないか。

コメント

  1. SHINO より:

    現地取材お疲れ様です。
    イオンモール新駅開設により、日本最大級イオンモールの従業員や利用客にとって大変便利になります。10時台では積み残しも発生していたイオンモール行きバスの混雑緩和にもなります。新駅建設決定は喜ばしいことです。

    しかしながら、イオンモール需要が海浜幕張駅の利用者全体のうちどれくらいの割合を占めているのか未知数なところもあります。海浜幕張駅周辺は巨大なビジネス街を抱え、さらにホテル群、マンション群などもあり、もしかしたら全体から見れば微々たる量かもしれません。

    新駅開設後、新駅の乗降者数はどのくらいになるのでしょうか、そして海浜幕張駅の流動に大きな変化があるのでしょうか。開設後の変化が興味深いです。

    • ばか者 より:

      さすがに海浜幕張駅の利用者全体と比べるとイオンモール需要は小規模なものかと…。
      とはいえバス輸送では厳しい量の需要を持っているのは事実ですし、本編でも触れた免許センター需要や、あるいはマリンスタジアムなどへの臨時輸送をイオンモール新駅に振り替えるなんて噂も聞きますので近年の新駅以上には利用者が見込まれます。いずれにせよ、新駅開業後、幕張新都心の交通体系がどう変化するのかは非常に興味深いところですね。

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