昨年8月26日、ついに宇都宮にLRTが誕生しました。清原地区への軌道交通は宇都宮市の悲願、さらに完全新設としては日本初のLRTとあって、報道やSNSで追っているだけでも開業の盛り上がりは凄まじいものでした。
開業ブームが落ち着くのを待っていたら完全に行く機会を失ってしまいましたが、春には快速運転の開始を控え、最高速度向上も目指しているということで、開業段階の暫定的な様子を見ておくべく、このタイミングで訪問してきました。
宇都宮駅東口でライトラインと対面
改札を出て右手のペデストリアンデッキへ進んでいくと、さっそくライトラインのりばの案内標識が現れました。案内に従ってエスカレーターで下ればこの光景。なんですかこれ、めちゃくちゃかっこいいんですけど…
ホームへ下りた時点では人影まばらで、さすがに利用も落ち着いたかと思いましたが、次から次へと乗客が現れ、電車が到着する頃には2-30人程度の待ちになりました。これほどの利用が定着しているのかと驚いたところで停留所を後にします。
単に鉄路を通すだけでなく、周辺交通を巻き込んで交通体系を構築してこそLRT。関連交通も見ておかねばなりません。
LUUPキックボードでベルモールへ
駅周辺への二次交通として導入されたのが、電動アシスト自転車と電動キックボードのシェアリングサービス“LUUP”です。ライトライン開業に先駆けて2022年12月にサービスを開始しました。
ところで、こちらの電動キックボードはバッテリーが床下ではなくフロント部分に取り付けられています。メンテナンス性が良さそうで今後のスタンダードになるものとばかり思っていましたが、ふたを開けてみると宇都宮と横浜に投入されただけで、昨年7月の道交法改正を機に登場した機体は従来モデルを踏襲したスタイルに。何か不都合でもあったのでしょうか。せっかくですし、このいつ淘汰されるともわからない電動キックボードを利用してみます。
ライトラインを追うように鬼怒通りを東へ。ライトライン開業効果か、車通りはまばらで快適に走れます。
峰町の立体交差を過ぎると交通量も増えてきました。ベルモールが姿を現したところでは後ろからライトラインが。ちょうどベルモールがオープンするタイミングだったこともあり、3-40人近く下車していました。
ベルモールの駐輪場に設けられたポートでLUUPを返却。利用時間はちょうど20分でした。ところどころガタつく舗装のところもありましたが、全体的には広々とした道ですんなり走れました。
機体については、バッテリーがフロントにあるぶんステップ部が短く窮屈な印象を受けたものの、運転自体は他のモデルと変わりなくできました。液晶表示が小さいのも走行時に速度やバッテリー残量を確認することは基本ないので特に支障ありません。
平石からライトラインに乗車
ベルモールでもライトラインを見送り、歩いて平石へ向かいます。鬼怒通りを跨いで専用区間に入るとこ、この目で見たかったんですよ。
というわけで、いよいよライトライン乗車です。
鬼怒川を渡ったところにあるのが飛山城跡。田畑のど真ん中の何もない停留所ですが、宇都宮駅方面のホームには家族連れが2組待っていました。自家用車とライトラインを乗り継ぐP&R拠点として機能しているのです。当初は送迎車待機スペース(写真右側)しかなかったものの、駐車利用が多くみられたため、急きょ11月から写真左側の区画を駐車場として開放したのだとか。
空気輸送のフィーダーバス
清原地区市民センター前で下車すると、ちょうど隣の乗り場にバスがやってきました。ライトライン開業にあわせて新設されたフィーダーバス「清原台ゆいの杜循環」です。ライトラインが通らない清原台を縦貫し、ゆいの杜エリアとを結びます。
ライトラインとは3分接続でスムーズな乗り継ぎですが、乗客1人だけで発車しました。
谷を挟んで清原台へ入っていきます。6丁目公園前で唯一の乗客が下車。清原台南下原で1人乗車し、こちらはゆいの杜かましん前で降りていきました。
ゆいの杜をぐるっと一周し、とちぎ産業創造プラザで下車しました。1時間おきに走っており、フィーダーバスの中でも便利な路線設定だと思うのですが、この空気輸送っぷりでは先行きが心配になります。マイカーでのP&Rはともかく、徒歩でグリーンスタジアム前に出て直接ライトラインに乗るという話もあり、今後改めて確認したいところです。
各拠点でマイカーやバス、あるいは自転車と乗り継いで利用される様に、ライトラインがいわゆる路面電車(トラム)ではなく一本の鉄道として機能していることを実感しました。駐車場の増設をはじめ、利用状況にあわせて逐次修正を加えており、今後も楽しみです。
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