あかね散る前に

佐渡汽船の直江津~小木航路では、2008年以降、フェリーが1日1.5往復しか運航されず、曜日によってダイヤが変わる状態が続いていました。

この問題を解決すべく、北陸新幹線開業に合わせて導入されたのが高速カーフェリー〈あかね〉です。航海速力30ノットの快速で自動車航送可能なまま1日2往復化を実現、さらに双胴船で時化にも強いと鳴り物入りでのデビューでした。

ところが、その復原性の高さゆえ、逆に多少の波でも揺れが発生。高速航行のため燃料代や維持費もバカにならず、就航からわずか6年で退役となってしまったのです。


直江津駅から直江津港へは直行の連絡バスに加え、鵜の浜方面へ向かう上越大通り線も利用できます。早めに港へ向かうと、ちょうど〈あかね〉が入港してくるところでした。

なんてかっこいいんでしょう…

あまりの美しさに息をのみました。

乗船手続きを済ませ、さっそく乗船します。

ボーディングブリッジを進んでいくと、車両甲板を見下ろせるブリッジのような場所に飛び出しました。

車両甲板は3ブロックに分かれています。左側(船首側)にスロープが設けられているところを見ると、中央ブロックは状況次第で天井を下げて2層にできそうですね。

また車両甲板には乗用車、トレーラーのほかに名阪近鉄の貸切バスの姿が。言われてみれば中京・関西方面からだと新潟航路よりこちらの方が遥かに便利です。そういえば折り返し前の便からも三重交通のバスが降りてきました。

客室入口の横に本航路が国道の一部であることを示すプレートが掲示されていました。

客室にはカラフルな座席がずらーっと並んでいます。

私は1等席「ときクラス」を利用しました。最前列に陣取れば前方をまるっと見渡せます。

1等区画後方にはラウンジ調のソファー席もありました

中ほどにはショップも。お土産類だけでなく軽食も提供されています。

限定の「あかねバーガー」を買ってみました。おいしい。

食後はオープンデッキへ。船体最後部のささやかなスペースしかありませんが、外の空気を吸えるのはいいものです。

荒々しいウォータージェットの航跡はいつまで見ていても飽きません。

そうこうしているうちに早くも島陰が見えてきました。

もう着いちゃう…

まったく揺れのない最高の航海でした。降りたくない…


その後、直江津~小木航路ではジェットフォイルのみの運航を経て、2023年度から中古カーフェリー〈こがね丸〉が導入されました。所要時間は2時間40分と1時間延びたものの1日2往復の運航を維持しています。〈あかね〉の挑戦は夢と終わりましたが、せめて直江津~小木航路が末永く運航されるよう願ってやみません。

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