小坪井林用軌道 第二次探索【その2】

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(探索日:2017/3/25)

水没隧道から出てきた我々。渇水期に来ればもう少し先まで進めるのでしょうが、隧道の手前がヘドロ化していたところを考えるとダムによる堆積でほとんど埋まってしまっていると考えられます。

ところで、皆さまは衛士支線をご存知でしょうか?
衛士支線は66小林班を目指す路線であり、ヨッキさんのレポートの「第三の証言者の地図」に記されています。今回発見した水没隧道があることによって、その先の路線である衛士支線の存在は証明されていました。
しかし、田代川の本流沿いに長大な路線が敷設されていたことが判明したため、衛士支線の存在は一気に疑わしくなってきました。そもそも、衛士支線は水没隧道を抜けたあと一旦田代川を下降してから衛士沢に入っていくので、線路が一部逆勾配(上流側から下流側に向かって上り勾配になること。林鉄では上流→下流が木材満載、下流→上流がカラになるため、タブーとされていました。)になっていた可能性が高いのです。
というわけで、水没隧道探索を終えた我々は、衛士支線の痕跡がないか田代川をさらに下降することにしました。

田代川の蛇行を曲がると、ダムによる付け替えで生じた田代橋が見えてきました。林道の旧道はこのあたりで橋を架けて対岸に渡っていたはずですが、ダム工事の影響なのか跡形もありません。地形図には載ってるんだけどな…。

左手に構造物があったので近寄ってみると、等間隔に並んだ鉄骨でした。鉄骨間に木の板が挟まっていたようなので、土砂崩れを防止する押さえか何かでしょうか?
というか、洞門橋の近くで見た鉄骨も同じモノ…?

ビビるからやめて…。

橋はありませんが、対岸に渡ってみました。と…

路盤発見!!

もちろん、軌道跡と即座に断定されるわけではなく、旧林道を発見しただけなのですが、注目すべきはその勾配。写真手前から奥にかけて下り勾配になっているのがわかるでしょうか?実は田代川は写真奥の方が上流側で、つまり、この路盤は河川勾配に対して逆勾配になっているのです。
そして皆さま覚えていらっしゃるでしょうか?衛士支線は一度田代川を下降してから沢に入っていたということを。

すなわち、路盤が逆勾配になっていることは、衛士支線が存在した可能性があることを示しているのです。

下流側(衛士沢のある方向)を見ると急に勾配がキツくなっていました。右側の石積みとあわせ新道建設の影響と思われます。
いや…そんなことよりもっと重要なものが見えてるんですが…。

キロポストじゃね???

突如として現れた1.5キロポストに我々の歓喜はマックスに。路盤勾配が衛士支線の存在を思わせるものだったことも相まって、林鉄由来のキロポストではないかと喜び合いました。

が、果たしてこれは林鉄由来のモノなのでしょうか?
というのも、全国の林鉄・林道にキロポスト設置が命じられたのは1957年のことであり、小坪井林用軌道が廃止された後です。また、手押し軌道で、山奥では桟橋上に路線を敷設していたような路線でこのようにしっかりした構造物を設置するとは思えませんし、そもそも軌道由来ならばどこを起点として1.5キロなのかが全くもって不明です。
一方、軌道由来であることを疑う資料もなくはありません。1957年制定の林道規程細則 標識基準準則では林道の距離標(キロポスト)は1キロごとに設置することとなっています。したがって、林道にとってこのキロポストは必要ない存在です。ですが、これが林鉄由来であれば話は別で、同準則によれば林鉄は二級線であっても500mごとに距離標を設置しなければならないです(一級線に至っては100mごと!)から、1.5キロポストが存在していてもなんら不思議はないのです。ただし、上記の基準はあくまでも”基準” であって、各営林署によって何mごとに距離標を設置するかはバラバラだったようですから、これをもってキロポストが林鉄由来であるとする確証にはなりえません。

そんなこんなで林道の距離標について調べていたところ、君津市の俵田林道に1.5キロポストが存在することが判明しました!この事実を根拠に、私はこのキロポストが林道由来のものであると結論付けます。旧版地形図をもとに、旧林道起点からキロポストまでの距離を測ったところ、キチンと1.5キロになりましたし(ヨッキさんが三次探索で発見された6.0キロポストについても正確な距離でした)。期待させておいてスミマセン。

なお、キロポストを発見した我々はさらなる発見を求めて前進しましたが、ダム湖が予想以上に広く思うような探索ができないとして、下の地図の現在地の地点で撤退を決意しました。どうやって脱出したかはご想像にお任せします()

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