航空自衛隊第1補給処専用線

木更津というと陸上自衛隊の基地があることでも有名ですが、この基地からかつて木更津駅に延びる専用線が存在しました。江川線と呼ばれていたこの路線の跡地には近年までレールが残存していたのですが、残念ながら昨今流行りのメガ(?)ソーラー施設となり撤去されてしまいました。ですが、当地には実はもう一本専用線が存在しており、そちらにはまだレールが現存しているらしいのです。これは行ってみるしかありませんよね…?

ということでやってきたのは快速が停まらないでおなじみの巌根駅。京葉線直通快速に関してはついに停車するようになりましたが、ホーム長の関係で総武線直通快速まで停まるようになる日は訪れなさそうです。

意気込みはすごいんですけどね…。

千葉県道235号巌根停車場線を進んでいきます。地名としての表記は簡単な「岩根」なんですね。

少し行くと急にクランク状になりました。

バス停名にもあるとおり右手に自衛隊の基地が現れましたが、こちらは陸自ではなく航空自衛隊の基地。もっとも、どちらも元をただせば海軍の基地でしたし、もっといえば現在でも陸自基地の隅には海自が基地を構えており、陸自への専用線というのは正確にいえばそちらに延びていたというややこしさです。

基地の端までやってきました。このあたりから線路が延びていたはずなのですが…

おぉ…

さっそくレールの残存を確認しました。あまりの唐突さにポカンとしたまま頭が働かなくなってしまいます。

基地の方を振り返ってみますが、線路がどのように展開していたのかはあまり伝わってきません。

このまま痕跡をたどっていきたいところでしたが、水路を渡る橋のところに立派な柵が設けられているのでひとまず迂回します。

なんか盛り上がってる…??

これ線路埋まったままですね…。
通りから一本入っただけでこの残存状況は驚きです。

当然、踏切部のガードレールのそのままのよう。

アスファルトの割れ目に見えないエロティシズムを感じるのは私だけでしょうか?

基地方向を振り返るとこれぞ廃線跡という光景。東南アジアならば普通に列車が走ってきてもおかしくないくらい綺麗に残っています。

この先は道路との並行区間。素敵な歩道です。

小学校がありました。

鉄道由来の雰囲気をもつ標識。ここの小学生はなんと素晴らしい交通指導を受けていることでしょうか。

先に進むにつれて内房線側(内陸側)の線路が土に埋もれてきてしまいました。

どうも当初は全面埋めたものの、クルマが何度も駐車するうちに海側の線路だけ再び姿を見せてしまったようです。それを証拠にか海側の線路も埋まっている箇所もちらほら見受けられました。

個人的にこういうのものすごく好みです。

再び線路を横断する道路が現れましたが、ここでもレールはそのままでした。

元が自衛隊の専用線とはいえ未だに国有地とは驚き…。といいつつ完全に隣の工場の駐車場になってしまっています。

鉄道特有の盛り上がりがなんとも言えない空気感を醸し出しています。

モータリゼーションの象徴(などと

駐車場区間が終わると線路は藪の中に吸い込まれてしまいました。

橋があるのを見つけましたが迂闊に近づけません。

近づけなくても十分美味しい物件ではあるのですが…。

少し先ではふたたび道が横断しており(現役時代なら勝手踏切ですね)、線路間際まで近づけます。

そしてここにも橋梁が。

構造物については全く知識のない身ですが、それでもやっぱり惹かれるものがあります。

行く先はふたたびの藪です。

藪漕ぎする気力がなかったので隣の道を歩きます。もはやレールは見えません。

と、見えないレールの奥を内房線の電車が駆け抜けました。もとよりそんなに離れたところを走っていたわけではないですが、真横までくるとさすがにちょっとビビります。

そのままとことこ歩いていたのですが、奥の道路を走るクルマの音が聞こえるようになったところで道は途絶えてしまいました。藪漕ぎして用水路にでも嵌ったら困るのでここはおとなしく引き返します。

田んぼをはさんだ先に舗装道があったのでこちらを進みます。

ん?ソーラーパネルがいっぱい…。しかも曲線を描くように並んでるぞ…?

もったいぶるまでもなく、これは冒頭で述べた江川線跡を活用したソーラー施設。曲線状といういかにも効率の悪そうな形態ですが、それでも儲かるのでしょうからかなりの優良産業です。

青い廃線跡は弧を描いて内房線に近づいていきます。これがぴったり寄り添ったあたりで私が探索してきた路線もこちらに合流して終わりを迎えます。

合流点は踏切を少し過ぎたところだったようです。道路そばの用水路には橋梁が一つ、二つ、zzz…

私が探索してきた路線の橋梁はこちらです。最後も行く先は藪です。

振り返ってみてもなにもないように見えます。

赤文字で国有地と書かれた看板に恐れをなし退散。もっとも、この先進むと内房線の隣に飛び出てしまうでしょうからやめておいたほうが無難です。

その後も何か近づけるポイントがないかと近くの道を歩きましたが、国有地の看板に威圧されるばかりでした。

次の踏切で確認してみると内房線にぴったり寄り添う草むした線路が見えました。やっぱりあそこで藪に突っ込んでいなくて正解です。

合流地点から約30分、木更津駅に到着しました。巌根駅に降り立ってからも1時間半ほどで、内容の濃さに比べてなかなかお手軽な物件と思います。


※丸数字は写真を撮影したおよその位置を示しています。

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