このフェリーは人をダメにする

いよいよ本日、横須賀~北九州を約21時間で結ぶ東京九州フェリーが就航します。

そこで気になるのが、同じく東京と北九州を結ぶオーシャン東九フェリー。自販機形式のレストランなどシンプルな設備に加え、途中徳島に寄港し所要時間はおよそ34時間と勝ち目がないように見えますが、実は途中の徳島こそが最大の需要地なのだとか。いかなるものなのか乗ってみましょう。

横須賀発着の東京九州フェリーと違い、オーシャン東九フェリーは東京港フェリーターミナルまでやって来ます。

2階に上がって乗船手続きです。かつては釧路や高知へも航路があった東京港フェリーターミナルですが、今となってはこのオーシャン東九フェリーだけ。ターミナル内は閑散としています。

閉鎖されたカウンターが目に付きます。

3階が待合ロビーと乗船口になっています。なんか空港みたいですね。

今日の船は〈フェリーりつりん〉。オーシャン東九フェリーは4隻を運用していますが、その名は〈びざん〉〈どうご〉〈しまんと〉〈りつりん〉とどれも四国各県の名所で、四国こそがメインターゲットなのが伝わってきます。


船内に入ると、まずはこの船の最大の特徴といえるオートレストランがお出迎え。

壁際に自販機がズラリと並んでいます。

反対側にはレンジがこれまたズラリ。冷凍食品類は対応するアルファベット(B~E)のレンジに入れて商品番号のボタンを押せば、細かな時間設定などすることなく勝手に調理してくれるので安心です。

スタイル様々な座席は自販機前だけでなく窓際にも広がっており、席が足りないなんてことはなさそうです。

オートレストランの先は左右に通路があり、アウトサイドに個室、インサイドにカプセル寝台の大部屋が配置されています。

船体中央部にはリラックスチェアーが。すぐそばに大浴場やコインランドリーが設けられているので動きは最小限で済みそうです。

ここにも自販機が…笑

そして最前部にはフォワードロビー。もちろん夜間はカーテンが下ろされています。

個室はルームチャージ制で割高だった(※7月からは1名あたりの料金に変更され、いくぶん利用しやすくなったようです)ので今宵の寝床はカプセル寝台です。
16人大部屋に私含め6人。ターミナルのガラガラっぷりに大部屋貸切状態を期待してましたが、さすがにそうはいきませんね…。なお、個室もそこそこ利用があるように見受けられました。

通路脇の階段を上がるとデッキに出ます。どことなく運動場っぽい雰囲気がありますね。

おそらくその理由はこの異様に高い柵。こうなった経緯は書いてある通りです。

青く輝いているのは葛西臨海公園の観覧車でしょうか。

19:30 出航。

東京ゲートブリッジをくぐります。まっくら。

出航を見届けたところで夕食を。メニュー豊富でずいぶん悩んだ末、ビビンバ丼にしてみました。なかなか美味しかったです。

売店で御船印を獲得。ちなみにオーシャン東九フェリーでは公式船印帳を1500円で購入できます(通常は1980円)。

22時、浦賀水道を出たあたりで消灯です。揺れも大きくなってきましたし、もう寝た方がよさそうですね。


翌朝5時、すっかり目が冴えてしまった挙句お腹が空いてきたのでカップヌードルを食べることに。夜食はガマンしたんですが…やはりこの誘惑には耐えられません。

通常のレストランであれば確実に営業時間外のところ普通にこういったものが手に入ってしまうのはオートレストラン形式のメリットであり、また非常に罪深いところです(通常のレストランがある船でもカップ麺の自販機を備えてるとこくらいありそうですけども)。

二度寝を挟み、こんどはちくわ天うどんを頂きます。新商品と推されていましたが、ちくわ天がぶよぶよだったり上手く麺を温められなかったりで正直イマイチでした。まあこういうこともある。

ふと外を見ると貨物船を追い抜くところでした。

フォワードロビーを訪れてみるとカーテンが開けられてましたが、なんですかこの雨…洗車でもしてるんですか…。

このような天候のためデッキは閉鎖。むむむ暇つぶしの術が…。

とは言ったものの、大浴場で波に揺られたり窓際でボーっとしたりしていると、いつの間にか徳島の街が見えてきていました。ちなみに徳島手前で僚船と反航するんですが、それは思いっきり見逃しました。何やってるんだ…。

下船準備の放送が流れるとオートレストランにわらわらと人が集まってきました。半数以上がこちらで降りるのは間違いなさそうです。

徳島の到着は13時20分。半日以上かかる航路で退屈しないだろうかと不安でしたが、思いのほかあっという間に着いてしまいました。オートレストランというスタイルは自分の好きなタイミングで食事をとれ、食っちゃ寝、食っちゃ寝という実に堕落した生活を送れます。
思ったより悪くない。そんなフェリーでした。

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