忘れ去られたバスターミナルを求めて

総武線沿線から幕張新都心へのアクセスは、当初幕張駅からバスを運行することが考えられていました。ところが、幕張駅前にはすでに商店街が形成されており、住民の反対により駅前の道を拡幅することは不可能でした。それでも初めは駅前までどうにかバスを運行していたのですが、道路の混雑が激しくなってくるといよいよ運行もできなくなり、駅から少し離れたところにバスターミナルを作らざるを得ません。
そこで、東洋バスは駅の北側に“幕張駅北口”バスターミナルを建設。駅より北の団地へのアクセスがメインでしたが、団地から幕張新都心に通勤する人のために海浜幕張駅方面へも足を延ばしていました。一方の千葉海浜交通は商店街を抜けた国道14号沿いに“幕張駅入口”バスターミナルを建設して、海浜幕張や稲毛海岸へバスを運行していました。
当時は幕張駅西の開かずの踏切が解消されていなかったので、東洋バスは高速道路を経由して大きく西に迂回する、という経路を取っており、バスターミナルが駅から遠い千葉海浜交通も対抗できましたが、2004年に地下道が開通して開かずの踏切が解消されると、駅近くから乗れる千葉シーサイドバス(2003年に東洋バスから分社化)に軍配が上がり、“幕張駅入口”は一気に衰退。ついにバスターミナルも閉鎖されてしまいました。が、免許を維持するためか現在も一部路線が運行されています。今回は、その一つに乗車してきました。

それは、千葉海浜交通と千葉シーサイドバスが共同運行(?)している海浜幕張駅~幕張駅入口の路線です。千葉海浜交通の拠点である幕張駅入口に、敵会社である千葉シーサイドバスが乗り入れるのはなかなか意外ですが、先述のように幕張駅北口から南に向かうのが困難だったための措置です。シーサイドバスのほうは幕張駅入口行きしかなく免許維持もいいところだと思うのですが、千葉海浜交通も千葉海浜交通でまた謎です。というのも以前は朝に幕張駅入口行き、夕方に海浜幕張駅行き、と利用してもらおうという感じが見て取れたのですが、この前のダイヤ改正で上下とも11時台に一本という形になってしまったからです。いちおう、海浜幕張駅~幕張駅入口の系統は幕張駅入口~幕張総合高校という路線への送り込みという意味合いが強く(これは以前からそうです)、理解できないことはないですが、そもそも11時台に幕張から高校へ通う生徒、あるいは帰る生徒がいるのか甚だ疑問です。“幕張総合高校”というバス停の名前も若葉公園に変更してしまいましたし。

前置きが長くなりました。実はこの路線には朝方に運行されていた時に乗ったことがあり、時間帯変更によって利用客の変動はあったのかどうか気になって乗車しました。結論から言えば、最初から最後まで自分一人で、海浜幕張駅→放送大学、放送大学→幕張駅入口の乗客が一人ずついた以前と比べても利用者は確実に減っています。到着前に自分が写真を撮っていたこともありますが、乗った途端「バスはお好きなんですか?」と聞かれましたし、定期利用者は皆無といっていいでしょう。
そのまま運転手さんと軽くお話をさせていただきましたが、時々人が乗ると驚くとのこと。自分の時もそうでしたが、乗り間違いをしていないか何度も確認されます。

 さて、あっという間に幕張駅入口に到着。自分はガリバーのところにバスターミナルがあったと勘違いしていましたが、実際にはその横のマンション(?)がバスターミナル跡のようです。

↑こっちをバスターミナル跡と勘違いしていたが…

↑この左の建物が正解!

軽くうろついていると路地を使ってぐるりと回ってきたバスが帰ってきました。やはりというか、乗客はいなさそうです。


運行:千葉海浜交通
路線:幕張線
区間:海浜幕張駅~幕張駅入口
本数:平日のみ1往復
※情報は2016年12月乗車当時のものです※

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