中速鉄道のすゝめ

整備新幹線の建設がひと段落する見込みがつき(とはいえまだ20年くらいかかるわけですが…)、各地で整備新幹線に追加してほしいと陳情合戦が行われてるとか。ここでは、整備新幹線完成後の新たな高速交通について考えていきたいと思います。

まず大前提として新幹線は新「幹線」であり、将来的にはすべての幹線(・亜幹線)を新幹線に置き換えていく必要があるでしょう。
ただその数はあまりにも膨大で完成のめどが立ちません。

そこでです。今後の高速鉄道計画に中速鉄道を採用できないものでしょうか。
中速鉄道とは最高時速160-200キロ程度で走る狭軌の路線のこと。いわゆるスーパー特急というヤツです。 この中速鉄道、フル規格新幹線と同等の設備が必要になるのに最高時速はせいぜい200キロ止まりで整備効果が薄いことから、話題に上がるたび集中砲火を食らってしまいます。
ですが、中速鉄道には大きなメリットがあります。それは

在来線と直通できること

です。

幹線には往々にしてネック区間が存在し、そこさえ改良できればかなりの高速化が望めるなんてことがあります。
しかしながら、日本においては新幹線が標準軌なのに対して在来線は狭軌で直通不可。FGTのような小細工を使わない限り乗り換えが発生してしまうため、新幹線を建設する場合は全線を建設することが求められてしまいます。これに対して中速鉄道ならばネック区間以外は既存線へ直通させ、ネック区間のみの建設で済ませられるのです。当然、建設区間が短くなるので工期も短縮でき、各路線の高速化をスピーディーに行っていくことができます。

また、整備新幹線でも議論となる並行在来線の問題。今後新幹線を建設していくと、ローカル需要だけでは路線を維持できない(並行在来線単独では存続できない)なんて事態も発生してくるでしょう。その点、中速鉄道であれば既存線直通部ではこれまで通りローカル輸送と都市間輸送の二本柱で路線を維持していくことができます(普通列車の待避による所要時間増という課題は残りますが…)。ネック区間に関してはもとより地形が厳しく駅も少ない、さらには利用者も少ないでしょうから、並行在来線を廃止してしまってもさほど問題はないかと思います。需要のある駅は新線上に移設してP&Rをおこなうことでカバーできます

ただし、最初に述べたように将来的にはすべての幹線(・亜幹線)を新幹線に置き換えていくべきであり、この中速鉄道はあくまでも暫定整備です。
したがって、建設は中速鉄道規格ではなく新幹線規格で行われるべきでしょう。ちょうど北陸新幹線石動~金沢で行われようとしていたように、また青函トンネルで行われていたように、新幹線規格の設備に狭軌路盤を敷くのです。もともと中速鉄道はフル規格新幹線と同等の設備が必要なのですから、建設費はさして増大しないでしょう。
しかもこうすることで新線建設を新幹線整備の扱いとすることができ、新幹線整備用の補助金を受けられます。

なおこの中速鉄道、さきに時速160-200キロで走行すると述べましたが、ネック区間のみの建設となると時速110-130キロ程度で十分です。というのも、ネック区間は表定速度がかなり低めになっており既存の特急車両が最高時速を出せるだけでもそれなりの所要時間短縮を見込めます。仮に最高時速160-200キロの新型車両を投入したところで在来線直通区間では最高時速110-130キロに抑えられてしまう可能性が高く、新線区間の距離もたかが知れていますから、新車導入に見合う効果は得られないでしょう。

道路網が高速道路によって着々とアップデートされていくなか、鉄道のブラッシュアップは急務です。暫定整備ながら早急にそれなりの高速化を期待できる中速鉄道をいま一度見直す必要があるのではないでしょうか。

コメント

  1. 空想委員 より:

    ちなみに4~5年前に考えていた将来の日本の長距離都市間公共交通についてまとめますと、まず中央新幹線をリニアで建設、さらに東北・北海道新幹線及び山陽・九州新幹線は基軸として最高時速360キロ程度での運行を可能とします。そのうえで、次期整備新幹線をまずは大都市~国際空港などの短距離から整備し、FGTも活用し全国的な新幹線ネットワークを築きます。それに加え、電車化し高速運転を可能にしたブルートレインを在来幹線に走らせ、新幹線が止まる都市のみならず止まらない町も大都市圏と乗り換えなしで往来できるようにします。なおこの”ブルートレイン”はノビノビ座席を連結して可能な限り廉価に利用できるようにし、さらに座席車も連結して深夜・早朝の通勤特急としての役割も持たせると共に、昼間も座席車とノビノビ座席だけでも行楽列車などに使用できるようにしてはなどということも考えていました。そうしてネットワークが一通り完成したら、在来線の線形の悪いところから順次準新幹線(中速鉄道)を建設、さらに羽越・四国・東九州の各新幹線は東北新幹線や山陽新幹線の迂回ルートとして、また(特に四国は)比較的高速運転の難しいFGTの受け入れ用としてもゆくゆくは全線フル規格での整備も考えていいのではないか、などというものでした。このプランをもとに、今度は高速バスやフェリーなども組み合わせて考えてみたいものです。

  2. 空想委員 より:

    この記事を読んで、私は今再び在来線の可能性について考えてみたくなりました。

    私はかつて(4~5年くらい前)整備新幹線の一刻も早い整備を主張しつつ、基本計画新幹線の整備新幹線への格上げも「考えて良いのではないか」と言いつつ(「次期整備新幹線」という件名をつけて考えていました)、時速160~200キロで走る在来新線(「準新幹線」という名前で呼んでいました)や電車による高速寝台特急網等について考えておりました。しかしそれ以降はバスや長距離フェリーにも興味が沸いたこと、そもそも公共交通以外の世界にも関心が向くようになったこと、そして全国的にフル規格新幹線への期待が高まってきたことから、在来幹線の将来についてはおざなりになっていた感は否めません。「中速鉄道」についても、「ああ”準新幹線”だなあ」とは思っておりましたが、そこで止まっていました。さらにJR北海道とJR西日本で”特急減速”が行われ、どうも”在来線の高速化を!”などとは言えないなと、勝手に思っていました。

    しかし、この記事を読んで思いました。この記事は、私こそ書かなければならなかった、と。考えてみれば、次期整備新幹線は真剣に議論されるようになったし、準新幹線も「中速鉄道」という名前で一定の知名度を得たし、高速寝台特急網はともかく「四季島」も「トワイライトエクスプレス瑞風」も動力分散方式による新しい夜行列車ではありますから、私が4~5年前に考えていたこともあながち間違いではなかったのではないか、と思えてなりません。だからそのころに書き残したこと、考えたことを土台に、これからの長距離都市間公共交通について、改めて考えてみたいと思います。

  3. 俗に言う「乗り鉄」 より:

    ブログ投稿者さんもコメント欄の「空想委員」さんも「中速鉄道」の概念を広め・実際にその考え方に基づく鉄道整備を訴えて行ってほしいです。フル規格新幹線と現在の在来線の中間くらいの速さの鉄道が適している地域・路線は多くあると思うからです。

    私が考えている中速鉄道の形を紹介すると

    ●在来線を高規格に造り変えるか新規に造り、時速160km程度の運転ができる鉄道。(常に時速130km以上の速度で運転し続けられるような線形)

    ●単線と複線を組み合わせた標準軌フル規格新幹線。単線が含まれる区間は安全のため最高速度を時速200km程度にする。時速200km程度の運転のためカーブは既存の新幹線よりきつくしてもよい。そうすることでルート設定を柔軟にできるほか、建設・維持費の抑制を図る。停車駅はできる限り在来線特急停車駅の多くに停められるようにする。

    ●青函トンネルと同じようにフル規格新幹線と在来線を三線軌条で同じ線路に走らせる方式(最高速度は時速160km~200km程度。普通停車駅に沿って線形を決めることになるため線形は時速160km~200kmで運転できる程度にきつくする)

    の3つを考えています。
    どの路線・地域がどの方式が最適なのかを検討・議論した上で最適な整備方法が採用されてほしいものです。

    なお、秋田・山形の「ミニ新幹線」は新幹線の車両も在来線規格になるし、使用する在来線の線形・規格等はそのままなので不都合が多いと思います。整備するならば、思い切って在来線を高規格にするか、上記の方法でフル規格車両が走れる路線を造るのが良いと考えます。

    フリーゲージトレインは、近鉄のような在来線同士や九州では博多~佐世保・ハウステンボス方面など、新幹線の中でも局所的な区間での実用化から行なうのが技術的な面では現実的だと思います。

  4. 俗に言う「乗り鉄」 より:

    言い忘れていました。「中速鉄道」の表定速度は時速110km以上はほしいところです。遅くても時速100km以上。

    現在の在来線特急でも表定速度が時速100kmに迫るものはわずかですし。

  5. 俗に言う「乗り鉄」 より:

    何度もコメントしてしまい申し訳ありません。
    4.のコメントを訂正します。
    中速鉄道の旅客優等列車の 表定速度 は、最速達型列車でおよそ時速130~150km程度、停車駅が多めの列車でも時速100km以上は あってほしいものです。

    現在の在来線特急の最速達列車よりも速く、フル規格新幹線の平均的な表定速度よりは遅いという中間くらいの表定速度を目指してほしいものです。
    特に、現在の在来線で表定速度が遅い区間が中速鉄道に成るだけでも大幅な時間短縮になります。例えば現行の在来線の表定速度が時速60km台だった区間が表定時速100km台に上がると所要時間が4割程度短縮されます。

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