海のジェット機は想像以上にジェット機だった

東海汽船ではさるびあ丸のような貨客船だけでなく高速ジェット船というのも運航しています。これは一般にジェットフォイルとよばれる水中翼船で、ボーイングが開発したことから海のジェット機と言われることも。大島からの帰りはこのジェット船で冬季のみ寄港する館山へ向かうことにしました。

真新しい岡田港のターミナル。乗船券は昨晩の竹芝ターミナルで発券済みなので寄らなくてもいいのですが、せっかくなので中へ。

本日の出港船一覧。東海汽船では現在4隻のジェットフォイルを運用しているのですが、我々が乗る館山経由東京行きはセブンアイランド愛というのが充当されるようです。あとあと見たら昨晩発券の乗船券にも記載されてました…汗

外に出ると伊東行の“セブンアイランド大漁”が出航するところでした。ジェットフォイルはスクリューを用いず後方に水を勢いよく噴出して進むウォータージェット推進なのでしぶきが豪快ですね。

3番のりばには千葉行きの“セブンアイランド友”が停まっていました。船体の手前の銀色のものが水中翼。通常は海面下に隠れているのですが、岡田港の陸に近い側ののりばは水深が浅いため姿を拝めるのだとか。ところでこの便ツアー専用のものとばかり思ってスルーしてたんですけど、当日空きがあったら乗れたりとかするんですかね…?

下側には飛行機と同じようなフラップがついており、高速航行中は常にこれを制御して船体姿勢を保つためほとんど揺れないそうです。

水深のある所まで後退し水中翼を下げて出航。ちなみに、いまいちよく撮れませんでしたが水中翼は船尾左右にも存在し、計3枚の翼で船体を支えています。

あたりをうろつくこと少々、我々が乗船する“セブンアイランド愛”が姿を現しました。

3枚の水中翼に支えられ、完全に船体が海上に浮き上がっています。これこそがこのジェットフォイルが揺れず、そしてなにより43ノット(時速約80キロ)の高速で航行できるゆえんです。

釣り人の竿がかぶってしまいましたが、無事着水。それにしてもこんな港に近いところまで浮き上がったまま航行するんですね。

タラップがかけられ熱海からの乗客が降りてきます。

ターミナルの方では船が到着したので乗り場に出てくださいとの放送が流れ、4番のりばにはあっという間に長蛇の列ができました。

いざ初乗船です。

と、後ろには東京から館山を経由してやってきた“セブンアイランド虹”の姿が。7月の“セブンアイランド結”就航に伴い退役となる予定の船だけにきちんとその姿をカメラに収めておきたかったのですが…。まあ、肉眼で見られただけでもヨシとしておきましょう。

乗船券に記載の席番号に従い1階に下ります。座席にはシートベルトが備え付けられており、航行中は基本的にシートベルトを締めていないといけないそう。ホントに飛行機みたいですね。

安全のしおりがモロに飛行機のそれです。

出航し向きを変えるとアナウンスのように加速し船体を浮上させます(これをテークオフといいます)。まったく気づきませんでした。というか目線が高いからか浮上後もそんなに速いようには思えないのですが…汗

15:32 大型海洋生物の多い海域を航行するため減速すると放送が入りました。揺れが大きくなるので化粧室や自動販売機の利用を停止するそうです。
15:37 注意海域を抜けたため、利用制限が解除されました。せっかくなのでお手洗いを利用してみます。

中に入るといたって普通の便器が。ここだけは飛行機っぽくありません(笑)

席に戻ってみると、左前方遥か遠くにさるびあ丸が見えてきました。大島を出たのは45分も前なので、小さいながらもこうやって姿をとらえられるのは驚きです。。ただ実際に追い抜くのは館山出航後のようで、今回私たちが追い抜くシーンを見ることはありません。竹芝まで乗ればよかったなと若干後悔しました。

一方右手には洲崎が。もうじき着いてしまうんですね…。

15:53 なにやらエンジン音が変わりました。到着への準備が始まったのでしょうか。

館山湾に入るとジェット船は右に左に飛び回っていきます。左カーブのときは海だけ、右カーブのときは空だけしか見えないほど傾くのでなかなか楽しいです。

15:57 着水するとのアナウンスが入った直後、船はざぶんと水に浸かりました。離水の時とは異なりほどほどに衝撃があります。

16:03 館山港夕日桟橋着。4-50人ほどは下船したでしょうか。館山で半数強の方が下船してしまうのは意外です。おそらくですが館山経由のすこしあとに久里浜経由の竹芝行も運航されておりそちらのほうが10分ほど所要時間が短いため、竹芝まで行きたい人はそちらに乗っているのでしょう。

乗客が降りるとジェット船はすぐに竹芝へ向かっていきました。夕日に照らされて輝く姿はなんともいえないカッコよさでした。

一方桟橋では下船した方々が陸を目指してひたすら歩いています。ここから根元までは500mもあり桟橋としては日本一長いのだとか。

結局真の意味で上陸するまで5分もかかってしまいました。バスや鉄道に乗り継ぎを考えている方は注意が必要ですね。

なおジェットフォイルはあまり揺れず船酔いの心配がないと評でしたが、実際のところ長めの周期で上下に動くので同行のスタハン氏などは少々気分が悪くなってしまったようです。私も乗船中は全く問題ありませんでしたが、帰宅後めちゃくちゃ陸酔いしました。


海のジェット機は想像以上にジェット機でした。ただ今回は大島~館山航路であまり疾走感を味わえませんでしたから、ぜひまた東京~久里浜航路などで乗船して周りの船を間近で追い抜くところを見てみたいものです。むろんジェットフォイルを運航する国内他航路も気になって仕方ありません。


運航:東海汽船
区間:東京~館山~大島ほか(館山寄港は冬季のみ)
本数:1日2往復(館山寄港便)
※情報は2020年2月乗船当時のものです※

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