本州と北海道を隔てる津軽海峡。青函トンネルが開通し連絡船が途絶えた現在でも青函フェリーと津軽海峡フェリーの2社が青森と函館を結んでいます。このうち津軽海峡フェリーは青函フェリーよりも運賃お高めながら旅客重視で全船に個室が用意されているのですが、なかでもブルードルフィン2という船だけには「プレミア」という最上級の個室が設定されていました。
フェリーターミナルにやってきました。
ブルードルフィン2もちょうどやってきたところのようで、バウバイザーがだんだん上がっていきます。
そばに近づくころにはバウバイザーはすっかり上がり、中からトラックが吐き出されてきていました。青函航路は今なお物流の大動脈です。
ターミナルに入ると右手に発券カウンターが構えています。なお、今回は事前に予約・支払いを済ませていますので、左手に並んでいた自動発券機にQRコードをかざすだけで乗船手続き完了となりました。
右手のバースにはナッチャンWorldが停まっていました。インキャット製のウェーブピアサーで、青函間を2時間前後で結びましたが運航コストなどの問題で早々にお役御免に。現在では防衛省にチャーターされ、自衛隊の輸送などに従事しています。
がらんどうの待合ラウンジを抜け、3階のボーディングゲートへ。乗船券のQRコードをかざして通過します。なんだか飛行機みたいですね。
乗降口にいた船員さんに等級を告げると、慌ててレセプションから鍵とお土産袋(中はチョコクランチでした)を取り出し、部屋まで案内してくれました。
部屋は3区画に分かれています。
まず入ったところにはくの字にしつらえられたソファー。当然のようにテレビも設置されています。相当揺れるのか、リモコンはマジックテープでテーブルに固定されていました。
つづいて隣にはなんとバスルーム。パブリックスペースにはシャワーコーナーしかないのに湯舟独り占めしちゃっていいんでしょうか…。
さらにその奥にはベッドルームがあります。驚いたことに、こちらにもテレビが置いてありました。寝間着も用意されていますし、ホントにこれ所要4時間弱の航路なんでしょうか…。
さて、当部屋は船の最前部。ということはカーテンを開けると…?
前面展望が楽しめます。柱が複雑に絡み合っていて視界は狭めですが、前方が見られるだけで贅沢なこと。たっぷり味わいたいと思います。
回頭したところでさっそく道中購入したラッピを食べ始めたのですが、昨日からの荒天はまだ尾を引いているようで、出航直後から大揺れとなりました。当然、食事どころではありません。ソファーに横たわってなんとか酔いをやり過ごします。
40分ほどダウンしていると半島の陰に入ったのか揺れが落ち着いてきました。酔い醒ましもかねてここで船内を一巡してみます。
船の顔、エントランス。わりとシンプルな感じがします。
レセプション。個室利用の場合はまずこちらで鍵を受け取りましょう。
レセプションの向かいには売店がありますが、感染症対策で営業を休止していました。
エントランス後方にはシャワールームがあります。かつては湯舟もあったようですが、面影は見えませんでした。
エントランスから前方へつづく通路。
その両隣に大部屋(スタンダード)が設けられています。きちんとは見ていませんがぼちぼちとは埋まっているようでした。
下層階前方は個室が並ぶエリア。ブルードルフィン2にはファースト、コンフォート、スイート、プレミアの4種類の個室がありました(ほかの船はコンフォートとスイートの2種類のみ)。
上層階に上がったところにはマッサージチェア。もっともマッサージ機能は停止されており、ただのイスになっていたのですが。
デッキは荒天のため封鎖されていました。うーん無念。。
レストランスペースもありますが、中距離航路ゆえ冷食の自販機が並ぶだけです。
その奥にはキッズルームとゲームコーナー。2階層にしてはわりと充実した設備が整えられているなという印象を受けました。
部屋に戻るとちょうど津軽半島が間近に見えてきました。航海もいつの間にか残り半分です。
ということで慌ててお湯を張ります。用意されたものは使わないとの精神で、柄にもないのにバスソルトも投入してみました。
風呂上がりに20分ほどベッドで寝ていると、早くも青森港が見えてきました。
この特等席で入港を見届けたいところでしたが、徒歩乗船の方はエントランスに集まってくださいとの放送があり泣く泣く部屋を後に。
半分くらいは酔いでダウンしていたとはいえ、あっという間の船旅でした。
ブルードルフィン2。1994年、東日本フェリー“ほるす”としてデビューし青函航路などで活躍するも、2007年に引退し海外売却。韓国の船社に傭船され、“パンスター・ハニー”の名で釜山~金沢などに就航しましたが、2010年、なんと津軽海峡フェリーに引き渡され青函航路に復帰します。同社のフラッグシップとして活躍し、フラッグシップの座を新造船に譲った後も後輩船の引退を横目に貨客輸送に従事してきました。まさに波乱万丈の船生です。先日タイに売却されたそうですが、またひょっこり戻ってこないかなんてちょっと期待してしまいます。
青森港からは新青森駅や青森駅へねぶたん号というコミュニティバスが出ています。どちらかの駅を経由してもう片方に向かうのではなく、三内丸山遺跡~新青森駅~青森港~青森駅~棟方志功記念館という運行形態になっていますので、乗り間違いには十分注意ご注意ください。
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