IHIエスキューブ“ももちゃり”ほか~現金でも使えます~

新レンタサイクル論第3回はIHIエスキューブという会社を紹介します。全く聞き覚えのない名前かと思いますが、実はこの会社岡山市の“ももちゃり”や世田谷区の“がやリン”など全国各地のコミュニティサイクルにシステムを提供しています。

この会社のシステムは旧来通りのポートで管理するタイプ。気軽にポートを増やすことはできませんが、自治体と提携して運営するコミュニティサイクルであればむやみにポートを増やすよりも必要なポートをきちんと確保しつつ街頭の地図にポートを掲載してもらう方が効果的かもしれません。

街角の案内地図にはポートの位置が掲載されています(岡山)

コミュニティサイクルということで各地で多少方式が異なるかもしれませんが、ここからは岡山市のシステムをベースに解説していきます。

岡山駅西口B(岡山)

各ポートにはおおむねラックのそばに路上端末機が設置してあり、利用者はここで会員登録など諸作業を行うことができます。会員登録は電話番号などを入力し、送られてきたSMSに記載のIDおよびパスワードを打ち込んで「利用者カード」と書かれたリーダー部にICカードをタッチするだけ。
決済手段はクレジットカードのほか交通系ICカードさらには現金も利用可能で、まさに誰でも使えるサービスとなっています。ちなみに交通系ICカードや現金での決済で料金を支払わなかった場合はどうやら次回以降の利用が出来なくなる模様。効果的な手段には思えませんが、これくらいしか対策の取りようがないのでしょう。
なお、クレジットカード決済の場合は事前にWeb上で会員登録を済ませることもできますし、ICカードを持っていない方は運営本部の窓口で身分証明証等提示の上専用カードを発行してもらうこともできます。あらゆる方々が同様に利用できるサービスはコミュニティサイクルとして理想的でしょう。

料金ですが、1回利用の場合60分まで100円で、以降30分ごとに100円追加となっています。1日パス的なものとして「60分くりかえし利用」というプランがあり、基本料金200円で60分以内なら24時間のあいだ何度でも利用可能(超過料金は1回利用と同様)。2回利用するだけで1回利用と同額になりますから、複数回利用するのがわかっているならば観光利用でなくともこちらがおトクです。このほか500円で1回利用が7度できる回数券や、もちろん定期利用プランも用意されています。なお、交通系ICカードor現金決済時に超過料金が発生した場合は返却の際にポートそばの路上端末機で精算を行ってください。
※繰り返しとなりますが、これは岡山市の例です。料金体系はサービスごとに違いますので利用の際は事前に料金プランをご確認ください。

貸し出しは各ラック脇の読み取り部に会員証をかざすことで行っています。返却する際は自転車をラックに差し込むだけです。

鉄道博物館駅(さいたま)

なお、会社としてはこういった個別ロック式に加え柵で囲ったエリア一帯をポートにしてしまうゲート式も取り入れられることを強みと捉えているようです(もっとも、自転車側で管理するシステムならばゲートもなくそのようなことができてしまうわけですが…)。

また、当システムではポートが満車であっても路上端末機で処理をおこなえば返却することができます。自転車を付近に停めて鍵をかけ、その鍵を路上端末機横のBOXに投入してください(※端末機での処理を忘れないように!)。

このため定期的な自転車の再配置が必要なのはドコモ・バイクシェアと同じ。

駅前などの利用が多いポートではあらかじめ追加投入用の自転車をそばに置いておくこともあるようです。


“誰でも利用できる”という自転車シェアリングの基本理念を体現したかのようなIHIエスキューブのコミュニティサイクル。自転車シェアリングのシステムは全国津々浦々で統一されるべきと思いますが、それが難しいならせめてこういった素敵なシステムを採用してほしいところです。ドコモみたいなクソなのじゃなくてね。

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