房総ローカルGO! 昭和の亡霊、小湊鐵道

上総中野で鄙びた駅舎と昭和の急行のコントラストを楽しんでいると、森の中から一筋の光が現れ、間もなく小湊鐵道のキハ200が到着した。このキハ200は国鉄のキハ20系をベースにしたもの。昭和世界の中にまた昭和が現れ、駅はよりいっそう華やかになる。

オールロングシートの車内で待っていると、10:47、列車は定刻に発車した。地味にこちらも初乗車である。というのも、初訪問時は大雨による土砂崩れで一部区間の運休が発生していたからで、おかげでいすみ、小湊両路線の末端区間に乗ったことはないのに終着駅だけは来たことがある、という珍妙な格好になってしまっていた。車内を見渡してみると12人も乗っている。なかなかの乗車率だと思ったが、検札を見ているに全員サンキューちばフリーパス利用だった。
鬱蒼とした林の中を抜け、養老渓谷に到着。ここで6人も下車していく。実は、サンキューちばフリーパスの発売に合わせて市原市と木更津市が養老渓谷〜粟叉の滝〜久留里のバスを運行することになっており、是非とも乗ろうと思っていたのだが、運行開始は9月22日からとのこと。連休で利用されることを想定していなかったのだろうか?
新たな乗客を1人受け入れた列車は田園地帯の中を駆け抜けていく。 月崎で3人、飯給で1人と、だんだん車内が活気付いていく。と、猛烈にトイレに行きたくなってしまった。所要時間が1時間を超えるというのにこの列車にはトイレが付いていない。本当は上総鶴舞まで乗るつもりだったが、仕方なく里見で下車した。

里見は上総牛久以遠で唯一の交換駅。2013年にここの交換設備が復活したことで、上総牛久以遠で1時間間隔の運転ができるようになったが、里山トロッコが運転されているため、実際にはできていない。もっとも、昼間に1時間間隔で運行する需要は見出せないが…
やむなく降りた駅だが、用を足してしまえば田舎のちょっとしたターミナル、といった感じで心が洗われる。駅舎の傍には直売所的な建物が建ち、弁当などを販売している。
次の列車は1時間後だが、それまで待つのはもったいないので隣の高滝駅まで行こうと思う。売店の人に聞くとレンタサイクルがあるそうで(月崎、里見、高滝の各駅で貸出。元のポートへの返却を推奨しているが、一応別ポートで乗り捨て可能。)、里山トロッコ弁当を購入してポートへ。ポートといってもただの駐輪場で、傍に集金ボックスがある。やはりというかお金を入れずにそのまま乗ってしまう人もいるらしい。こういうときにこそももちゃりのようなシステムを、と思うが、さすがにそこまでの資金はないだろう。やる気の問題かもしれないが、自転車はいずれもただのママチャリで錆び付いている。

ただの駐輪場にしか見えないサイクルポート

4キロあまりを爆走し、高滝駅に到着。駅舎撮影が目的と思われる先客がいる。昨日の君ヶ浜でも同様の光景を見たが、鉄道を撮るのにクルマで来るのはどうなんだろうと思う。

なんだよこの顔(笑)

里山トロッコの通過を見送ったところで、弁当を食べていないことに気がつく。先ほども言った通り小湊鐵道は全列車オールロングシートだ。今のうちに食べたほうがいい。 だが、里山トロッコが通過したということはもう間もなく乗る列車が来るということだ(隣の里見で里山トロッコと普通列車が交換するため)。間に合うか?
なんとか間に合いはしたが、列車到着寸前にかき込む形となってしまった。

這々の体で列車に乗ったのも束の間、二駅目の上総鶴舞で下車する。

ドラマ「相棒」では元駅務室が待合室として利用されていた

上総鶴舞は首都圏からすぐ来られる田舎駅ということで、「相棒」など数々のドラマ・映画に使われている。今日はあいにくの雨だが、ドラマのシーンを彷彿とさせる。
ただ、このまま待っていても次の列車は14:41までない。ということで、本数の増える上総牛久まで歩くことにした。 上総牛久は旧南総町の中心で高校もあり、かなり賑わっている。交換設備も牛久以南が里見のみなのに対して以北は上総三又を除くすべての駅となっており、ここで本数が倍増する。五井〜上総牛久は電化、新車導入など行ってテコ入れを図ってもいいように思う。

明朝体に違和感

13:18発の普通列車で海士有木へ向かう。時間帯のせいか乗客が多いように思われた。

海士有木は「あまありき」と読む。ここから千葉方面への支線が計画されていたのはわりあい知られた話だろう(その計画の成れの果てが千葉急行電鉄改め京成千原線)。そのため、3番線を造るスペースが確保されている。立派な木製の階段がある1番線に対して、鉄骨組みで無骨な2番線のアンバランスさも面白い。

※追記:千原線が海土有木まで延伸された場合、駅は南寄りに移設される計画だそうです。

計画通り小湊鐵道が千葉まで延伸していたら、と妄想していると、列車は五井に着いた。

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